女性の運転免許を認めていないイスラム教国サウジアラビアにおいて、先週同国で女性の運転免許を容認した場合に生じる問題についてのハイレベル検討会が行われ、検討会の結果「女性の運転免許を容認することは、女性の売春、淫行、同性愛および離婚の増加につながり、処女がいなくなることが懸念される」と発表された。5日、米クリスチャンポスト(CP)が報じた。
先週同国最高位の宗教協議会において、女性の運転免許容認について同国の学者らが集い、この問題について真剣に検討された。
サウジアラビアは世界で唯一女性の運転免許が認められていない国となっている。9月下旬にはアブドラ国王が、女性の運転免許を容認する立場を示したのに伴い、同国の学者らが集い女性の運転免許を容認した場合に生じる問題について真剣に検討がなされた。
イスラム教国である同国のシャリア法に基づいて、女性の運転が認められておらず、同国のイスラム教指導者らは、女性の運転を認めないことで「女性が他の異性といかがわしい関係をもつことを防止することができる」としている。
今年6月には同国で40人の女性活動家らが街中を車で運転するだけでなく、その様子を動画として撮影し、ソーシャルメディアネットワークに公開するという活動を行った。動画は世界中に拡散し、同国で違法とされる車の運転を行った多くの女性活動家たちが逮捕された。動画のタイトルは「私の権利、私の尊厳」と付けられ、同国で女性の運転免許が禁止されているという人権の濫用について世界の人々の注目をより集めるために行われた。
これに伴い、クリントン米国務長官は6月20日に「米国務省はこの問題をサウジ政府のもっとも深刻なレベルの問題であると見なしています。私たちはサウジアラビア含む世界中すべての女性に、彼女たちの人生について自身で決断し、社会活動に貢献し、子供や家族のための必要を提供できる権利があると見なしています。そして女性が自由に動けること、運転する機会が与えられ、経済的な機会に接触でき、仕事に就くことができることなど、これらの日常生活の女性の権利は全て重要なことです。これは米国の問題ではなく、サウジアラビアの女性の問題ですが、サウジアラビアの女性たちは勇敢であり、彼女たちが求めているものは正しいものです。彼女たちの行動に心を動かされました。彼女たちの行動を支持します」との声明を発表していた。
クリントン米国務長官の声明や、9月25日にアブドラ国王が同国の女性が2015年から選挙権を獲得できることを容認したことを受け、サウジアラビアの女性の権利について、サウジ政府は国際的なプレッシャーを受けるようになってきている。
9月28日には同国で車を運転していた女性が逮捕され、鞭打ち10回の刑の判決が言い渡されたが、アブドラ国王によって同28日に撤回させられた。サウジアラビアのワリード・ビンタラール王子の妻であるアミラ・タィール妃は、ツイッター上でサウジアラビアで車を運転して逮捕された女性の鞭打ち刑が撤回された件について「神に感謝します。鞭打ち刑が撤回されました。敬愛するアブドラ国王にも感謝します。すべてのサウジ女性がこのことに感謝していると確信します」と述べていた。
先週発表された女性の免許を容認した場合に生じ得る問題についての検討結果はツイッターやソーシャルメディアネットワークで議論を醸している。特に現代社会におけるソーシャルメディアはサウジアラビアの女性活動家らによって重要な議論の場として用いられている。情報社会となった現代では、高レベル宗教学者らによる調査結果に対しても、ツイッターやソーシャルメディア上で「女性の運転免許容認で同性愛や非処女の女性が増えるという検討結果はばかげている」などの調査結果に対する批判の声が多く生じるようになっているという。