どれだけの年月、クリスチャンは馬鹿にされてきたのだろうか。ある牧師はこう尋ねている。プレイボーイの元モデルで人気女優のパメラ・アンダーソンが、カナダのCTVネットワークで12月に放送予定の1時間のコメディドラマ特番「ア・ラッセル・ピーターズ・クリスマス」で聖母マリア役に抜擢された。
番組は、これまで視聴者が見たことがない不敬なクリスマス特番として、既にインターネット上で議論を巻き起こしており、キリスト教コミュニティからの反発も予想されている。
コメディアンのラッセル・ピーターズが演出した放送予定の特番のプロモーション画像には、長くて白いローブとヘッドスカーフを身にまとったアンダーソンが映っており、彼女の衣装は、いつものきわどいものとは対照的だ。アンダーソンはヨセフと並んで赤ちゃんイエスを見ている。
制作者曰く、同番組は「エッグノッグに強い酒を入れるよりも面白くて危険なコメディ」で、「独演や寸劇、ストップモーション・アニメーション、音楽的パフォーマンスを混ぜ合わせたクリスマスの休日に相応しい作品に仕上がっている」という。
同番組にはアンダーソンのほか、歌手のマイケル・ブーブレやSNLの卒業生ジョン・ロヴィッツ、テッド・ランゲ、コメディー俳優のフェイゾン・ラヴらが出演予定。
牧師で作家のトム・ナレスニク氏はボストン・リベラル・クリスチャンエグザミナー誌の記事で、番組の独特な配役は別として、大衆文化はどれだけの間、キリスト教を愚弄し続けるのだろうかと質問を投げ掛けている。
同氏は記事の中で、「多くの敬虔なクリスチャンたちは特番を非難することだろう」としながら、「しかし、それは主に保守的なクリスチャンたちが行うお決まりの反応だ。我々が掘り下げて番組を制作したらどうなるだろうか」と語っている。
「我々クリスチャンはしばしば、あまりにも真面目腐った態度を取る。そして、イエス・キリストも厳粛で面白味のない人物として長い間、描かれてきた」ユナイテッド・チャーチ・オブ・クライスト牧師のナレスニク氏は、放送予定の特番からいくつかの教訓を見出すことができると述べている。
同氏は、ユダヤ教の「ミシュナ」(口伝)の伝統を例に挙げ、「我々はクリスマスの物語を再び語ろうとする時、いくらかの笑いを取り入れることができる」と語った。「口伝の伝統をもったユダヤ教では、語り手はエンターテイメント性を付加するため、しばしば聖書の記事にユーモアを取り混ぜていた」
「しかし、問題はラッセル・ピーターズがいい意味でクリスマスを題材にした喜劇をやるのか、それともクリスマスを嘲笑するような安っぽい笑いに走るのかだ。彼が信仰を冷笑することを考えているなら、その番組は不当で不必要なものであって、非難されるに値する」とナレスニク氏は語った。
しかし、番組の概要は、ピーターズがイエスの出生を「いい意味で面白く」展開するというよりも、やはり嘲笑に走るように見える。結局、それは「不敬なクリスマス特番」ということになるのかも知れない。だが、ナレスニク氏は不敬な言動が必ずしも悪いことではなく、「イエスでさえ時として、自らの主張を証明するために風刺や皮肉を使用した」とも指摘している。
彼は、より深刻な問題はピーターズの特番が如何に人気のある大衆文化であるかと考えた場合だと語る。「非難や悪い冗談を通じて、キリスト教が古い信仰による時代遅れで無益なものだとされるなら、その場合、我々クリスチャンは自身の信仰に真剣に向き合う必要がある。若者たちを非難するのではなく、新しい世代交代の方法を模索しなければならない」
米国バイオラ大学のトーリー・オーナーズ研究所の指導者ジョン・マーク・レイノルズ氏も放送間近の特番について、クリスマスの物語はピーターズの番組でさえ生まれ変わって、残っていくだろうと米クリスチャンポスト紙に語っている。
同氏は、アンダーソンの聖母マリアを嫌がる人々を安心させるために、「パメラ・アンダーソンは多くの人の中からイエスの母親役に選ばれた女優で、台本を読んだ時ですらこの物語に励まされたという」と語った。同氏によると、より重要なことは、アンダーソンが聖母マリアとかけ離れたプレイボーイの元モデルのイメージを観客に与えないことだという。
「俳優たちは、かの有名な英国の俳優サー・イアン・マッケランを真似ることが正しいと認めている。彼がガンダルフ(「ロード・オブ・ザ・リング」の登場人物)という役通りの人物ではなかったように、アンダーソンは聖母マリアではないのだ」とレイノルズ氏は述べている。
「ア・ラッセル・ピーターズ・クリスマス」は12月1日、現地時間午後9時に放送される。