【CJC=東京】ロシアでは宗教の自由への規制が強化されており、西側政府と教会はこの問題に目を向けるべきだ、と英国の東欧圏の宗教事情を調査している『ケストン研究所』のマイケル・ボルドー所長が11月8日、ENIニュースに語った。
「(公式には無神論国家だった)ソ連は20年前に崩壊したものの、宗教信仰者はなお深刻な問題に直面している」という。「本当のところ、誰もロシアを評定していないことが心配だ。それぞれの国の人権記録を監視する権利と義務が忘れられてしまった」と指摘する。
ロシアで宗教の自由に関する法律が制定されたのは1990年のこと。それは「おそらく世界史的に最も自由なもの」だったが、97年に「恥ずべき法律」に置き換えられた、と同氏。97年の法律は、強硬派政治家と支配的な正教会の圧力により生まれ、それは「非伝統的」と判断された宗教団体を差別するものだ、と言う。
ボルドー氏は、「ロシアでは18世紀初頭にルーテル教会が、そして中世にはカトリック教会が存在したことからすれば、それらを非伝統的とは、どんな法律論からも正当化出来ないのだが」と指摘する。
西側の人権団体は、ロシアに宗教的権利を保護し、「エホバの証人」やその他の少数宗教グループなどに向けられた大量逮捕や家宅捜索などで出された欧州人権裁判所の裁定を受け入れるよう求めている。
ロシアにはプロテスタントの登録団体が約3500存在する。ルーテル派、パプテストも含まれているが、中には非認可礼拝だとして警察の手入れを受けることに不満も出ている。
カトリック教会も、マザーテレサが創設した「神の愛の宣教者会」が運営しているモスクワの慈善の家がこの9月破壊され、プスコフの教会が「法的手続き」の不備を理由に10月に工事を差し止められるなどの事件が発生している。
10月、「国境なき人権インターナショナル(HRWF)」(本部ブリュッセル)のウイリー・フォートル代表が、2002年に制定された過激派取締り法が「少数派宗教団体を対象とすることに利用」されている、と指摘した。
米国務省は、9月13日に公表した宗教の自由に関する年次報告で、「禁止された宗教文書を所持したとか違法宗教団体に加わった個人」を犯罪者扱いするなど、ロシア政府の「宗教の自由を重んじる水準」がこの所低下している、と指摘した。
ロシア正教会の教会と社会関係部門の責任者フセフォロド・シャプリン氏は11月7日、「わたしたちは世俗国家に居住しており、それは自然のこと。しかしわたしたちの社会はほぼ正教徒キリスト者で構成されているのだから、教会、国家、社会の調和は当然のことで、一つの身体の中の関係であって、異なった性質の間のものではない」と語った。ロシアのインターファクス通信が報じた。