ケニアのソマリア人難民キャンプで暮らしていたハッサンさん(25)が、先週教会に行く途中にイスラム教徒の若い男たちから暴行を受け、意識不明の重体となった。ハッサンさんは7歳の時イエス・キリストの信仰を持つことを決意し、それ以来教会で礼拝を捧げる熱心なクリスチャンであった。米コンパス・ダイレクト・ニュース(コンパス)が伝えた。
ハッサンさんに暴行を加えたイスラム教徒の若者たちは、コンパスに対し、「イスラム教徒として生まれたソマリア人が背教するのは死に値すべき行為である」と述べているという。ハッサンさんは、10月27日、イスラム教の暴徒らに囲まれ、鉄の杖と木製のこん棒で殴られ、全身から血を流し裸にされた状態で発見された。
ハッサンさんとハッサンさんの母親は、イスラム教からキリスト教に改宗し、地下教会で礼拝を捧げていた。ケニアの町中で、ハッサンさんは同日午後8時30分頃、帰宅する途中に6人のイスラム教の若者に囲まれ、鉄製の棒で額と顔を打たれ、前歯二本を失ったという。その後背後から暴行を受けたという。
ハッサンさんが地面に倒れた途端、暴徒らはハッサンさんの腹部を踏みつけ、足を蹴り始めたという。また暴徒らはハッサンさんの手をナイフで切りつけたという。その後暴徒らは、ハッサンさんの服をはぎ取り、血だらけのハッサンさんを地面に引きずりまわし、東アフリカ長老教会の敷地内に入る入口に置き去りにして去っていったという。置き去りにされたハッサンさんを見つけた通行人がハッサンさんの母親に連絡し、その後病院に運び込まれたという。
ハッサンさんが倒れている場所に駆け付けた母親は、コンパスに対し「暴行の現場に辿りついた時、私の息子は血だまりの中に横たわっていました。私は泣き叫びましたが、一体何が息子に起こったのか理解できませんでした。その後警察や多くの人たちがかけつけてこられて、しばらくたってから正気を取り戻すに至りました」と伝えている。
その後ハッサンさんは病院に運び込まれ、緊急輸血を受けた。コンパスは10月31日にハッサンさんとハッサンさんの母親に面会している。ハッサンさんの母親は、「息子は暴行を受けてからというもの、夜眠りにつくことができずに苦しみうめいています。腹部の痛みを訴えています。おそらく内蔵組織に負傷が生じているのではないでしょうか。しかし私たちは息子に何もしてあげられないのです。息子のための医療ケアをするためのお金を持っていないのですから」と述べている。
ハッサンさんに暴行を加えたイスラム教暴徒のうち二人な既に警察に拘束されている。ハッサンさんとハッサンさんの母親は、「この地域ではイスラム教から改宗した人間に対する暴行について公正な裁判はなされないでしょう」と述べている。
ハッサンさんの母親も秘密裏にキリスト教の信仰を貫いているが、近隣のイスラム教徒の女性たちが毎週金曜日にハッサンさんをモスクに誘いに来る際、いつもハッサンさんの母親は「気分が悪くて行けません」と答えているため、近隣の人々からも自身がイスラム教を背教していることを薄々気付かれているのではないかと懸念していた。ハッサンさんの母親は「息子が受けた暴行は、これまでイスラム教の隣人から受けてきた嫌がらせの中でももっとも凄まじいものとなりました。彼らは私たちがキリスト教徒であることにもう気付いたでしょう。他の子供たちが讃美歌を歌っているのも聞こえているでしょう。私が地下教会の牧師をしているという噂も広がっているようですが、それでも私の強さは神様と7人の息子たちから来ています」と述べている。
ハッサンさんの母親はそれでもキリスト教の信仰を放棄することはないとし、「息子はひどく暴行を受けましたが、私は神様が私たちを守って下さることに信頼を置きます。イスラム教には戻りません。キリストと共にいます」と述べている。また暴行を受け重傷のハッサンさんも、「私はキリスト教の信仰を失うことはありません。キリスト教の信仰を保つために戦い続ける必要があります」と述べており、信仰が崩れないように常に祈りを捧げているという。