南部スーダンが独立して以来、イスラム法の支配する北部スーダン政府はより教会活動を厳しく取り締まる傾向を見せている。首都ハルツーム近郊の教会ではイスラム教徒らが、キリスト教徒による教会堂の建築を長期間にわたって妨害する活動を繰り広げているという。24日、米コンパスダイレクトニュース(コンパス)が伝えた。
情報筋によると、ハルツーム郊外にあるスーダンキリスト教会(SCOC)は地域当局やイスラム教徒らの反対に直面しつつ日曜礼拝に屋根のない教会堂で礼拝を捧げているという。イスラム教徒らは「キリスト教はもはやこの国で受け容れられる宗教ではない」と主張しているという。8月5日にはイスラム教の暴徒らが、「この場所にいかなる教会も必要ない」と叫びながら、SCOCの教会建築作業中の教会員に向かって石を投げつけてきたという。
イスラム教国である北部スーダンには、7月9日の南部スーダン独立を機に多くのキリスト教徒が国外へ退避したものの、現在もおよそ100万人のキリスト教徒が存在していると推定されている。
スーダン教会指導者は「スーダン当局では、キリスト教徒にさらなる圧力をかけるために、国内の教会数を減らし、規制を強化させようとしています」と述べている。
SCOCでは1997年に土地を購入して以来、教会建築を行おうとしてきたが、政府当局および地域社会のイスラム教の住人らが執拗に教会建築を妨害してきたという。現在に至ってもSCOCは同国政府に教会建築の許可を得るための交渉を続けている状態であるという。地域社会および地域当局は、同地域での教会同建築について「この地域にはキリスト教徒は存在しないため教会建築の必要はない」とし教会建築に反対する姿勢を見せている。しかし同地域に住むキリスト教徒によると、実際は多くのキリスト教徒が同地域に存在しているという。同教会指導者によると、現在の教会には屋根ができていないため、雨風の強い日には礼拝を捧げるのが困難であるという。
スーダン政府が任命した地域当局の委員会には、イスラム教過激派の信徒が多く含まれており、地域社会でのキリスト教徒の活動を監視し、逐一当局へ報告しているという。今月12日には、スーダンバシル大統領がスーダン政府はイスラム教国としてのアイデンティティを厳守していく意を再度明確に表明した。なおバシル大統領には国際刑事裁判所(ICC)からスーダンダルフール州での集団殺害犯罪、人道に対する犯罪及び戦争犯罪の容疑で逮捕状が出ている。