「僕には夢があるのです。でも実現することは難しいと思います。それに、僕の人生の中で夢をもつことは許されないのです」―青年は強制労働者のドキュメンタリー映画でそう語っている。
このドキュメンタリー映画「58」は、悲嘆のストーリーで先週、米国の至る都市で公開された。また、ホワイトハウスは先週の夕方、隣接するアイゼンハワー行政府ビルで、キリスト教主義のNGOであるワールド・ビジョンとコンパッションの責任者を含む福音伝道の指導者たちとともに、この映画の上映会を開催した。
映画で青年の父親サンジヴは、インドのバンガローで汗をかきながら日の出から日没まで不法採石場で働く賃金奴隷の生活を送っている。彼は返済不能な借金地獄に陥り、囚われて、子どもたちに十分な食べ物を与えることや教育を受けさせることができず、悲しみに暮れている。
サンジヴは「常に借金の返済に追われているんだよ」と訴えつつも、貧困生活にあえぐ中、不法採石場での稼ぎを子どもたちに遺そうとする。
「58」は、父親と息子役で出演したトニーとティム・ニーヴスによって製作と演出がなされた。この映画は世界の9人の人々にスポットを当てた貧困生活の一日を追っていくドキュメンタリー。また、悲惨な状況に対して手を差し伸べるために神から遣わされた「良きサマリア人」としてのキリスト教指導者にもスポットライトを当てている。
映画の終盤では一つの質問が投げ掛けられる。「世界中の貧困をなくすために私は何をすれば良いのだろうか」と。
「58」は、世界のキリスト教団体によって集められた資金で製作された映画だ。映画のタイトルは、虐げられる人々に手を差し伸べることを勧めている旧約聖書のイザヤ書58章から取られている。
この映画の製作に携わった英国出身のキースティー・ムンロはスクリーン上で、「神が私の中に入ってきて、ケニヤへ行くべきだと感じたの。そこで最も貧困率の高いスラム街の一つ出会ったことを映画にすべきだって決意したのよ。その時、神が私にさせたかったことが分かったの。彼らに経済支援をするために、映画を通して世界にこの状況を知ってもらおうって」と語っている。
今年の『The World Hunger Education Service』によると、世界では約9億2千500万人が食糧不足で苦しんでいる。この数字から計算すると、バングラデシュ、中国、コンゴ、エチオピア、インド、インドネシア、パキスタンの7カ国のうち3分に2を占める人口が貧困にあえいでいることになる。「58」は、主にクリスチャンたちに向けて、特に貧困問題が深刻な上記7カ国への支援の必要性を訴えている。
コンパッションの責任者であるウェス・スタッフォード氏は映画の中に何度か出演し、「世界的な貧困撲滅は可能であり、我々は自分たちの力を信じるべきだ」と、しきりに訴え掛けている。同氏によると、約20年で世界的な貧困は現在の半分にまで減少させられる。彼は、世界中の人々が悲惨な生活状況から脱するために、神がクリスチャンたちを遣わされたのだと信じている。