14日カナダ首都オタワで開かれた記者会見で、同国首相のスティーブン・ハーパー氏は、「イラン政権は世界的な平和と治安を確保する上でもっとも大きな脅威となっていると言えるでしょう」と述べた。
米連邦捜査局(FBI)と麻薬取締局(DEA)は未然に防がれた米首都ワシントンD.C.を標的にした総額150万ドル(約1億1550万円)規模のテロ計画とイラン政府が関係していることを突き止めたことを発表した。
11日の記者会見で米国検事総長のエリック・ホルダー氏は「米政府はイラン政府に今回のテロ計画の責任を追求する」と述べていた。ホルダー氏によると、同テロ計画は「イラン政府によって認識され、支援を受け、指揮されたもの」であったという。
米国とイランの両方の国籍を持つマンスール・アルバブシアル容疑者(56)とコッズ部隊のメンバーであるゴラム・シャクリ容疑者は、駐米サウジアラビア大使を暗殺し、米首都にあるイスラエルとサウジアラビアの大使館を爆破するテロ計画を企てたとして、FBIに訴追された。アルバブシアル容疑者は9月30日にメキシコからジョン・F・ケネディ国際空港に到着した際に逮捕された。オバマ米大統領はテロ計画を未然に防いだことについて「米捜査当局と司法当局の大きな成果であった」と称賛している。
米政府はイラン航空マハン・エアーがイラン革命防衛隊の精鋭部隊で構成されると言われるコッズ部隊指導者らをシリアへ輸送し、シリアで軍事訓練を施しているとして、制裁措置を加える手続きを行っている。マハン・エアーはさらにイスラム原理組織に武器輸送や現金輸送も行っているという。英BBCでは「米政府の制裁措置によって、マハン・エアーの金融資産は凍結され、米国内の企業はマハン・エアーとの取引が禁止されることになるだろう」と報じている。
ハーパー加首相は、記者会見でカナダがイランに対し経済制裁をかける可能性があるかと問われた際、「カナダ政府はイラン政府に対し、すでに広範な分野での制裁をかけている。今後も同盟国と密接に動き、次の段階に備えていく」と述べた。
9月初旬に、英国およびカナダはイランに対する政治的懸念を表明していた。トニー・ブレア前英首相は、タイムズ紙に対し、「(イラン政府は)テロリズムに関与する組織を継続的に支援しています」と伝えていた。ハーパー首相は、「今日の世界平和の主たる脅威は未だイスラム教原理主義にあるといえます」と述べた。
メキシコ政府も米政府を全面的に支援しており、メキシコ政府高官は「メキシコ政府はテロリズムと戦うために国際的な協力を全面的に支援し、国家の治安を脅かすいかなる個人、組織、国際プレイヤーによる試みも非難する」と述べている。
一方、イラン政府はテロ計画とのつながりはまったくないと宣言している。イラン政府広報官アリ・アクバル氏は「イラン政府がテロ計画と関連しているという情報は米政府が国内問題に注目が集まるのを避けるために『ねつ造』したものにすぎない」と述べている。