米共和党大統領候補でモルモン教徒のミット・ロムニー議員と同議員を支持する米ニュージャージー州のクリス・クリスティー知事は11日、福音主義牧師によるモルモン教徒を差別する発言に関する遺憾の意を表した。11日、米クリスチャンポストが報じた。
ロムニー議員はクリスティー知事の後押しを受け、「このような宗教を背景にした共和党大統領候補者に対する評価の差別が米国において行われるべきであるとは思いません。リック・ペリー知事に対しましても牧師であるジェフレス氏が彼を称賛した言葉を撤回していただくよう願います」と述べている。
ロバート・ジェフレス博士は米ダラスにあるメガチャーチ、第一バプテスト教会の牧師で、7日に開かれたキリスト教福音派の会合において、モルモン教はカルトの一部であり、ミット・ロムニー氏は本当のクリスチャンであるとは言えないと言及していた。
米共和党大統領候補のひとりでモルモン教徒あるジョン・ハンツマン議員はジェフレス博士のモルモン教に対する言及について「より寛容を示すべきであり、モルモン教を差別するようなコメントをしたのは愚かな判断であった」と非難している。ハンツマン議員は米CNNに対し、「米国民が2012年大統領選で候補者を選ぶ際に、宗教的背景による差別発言を聞くのは役に立つことではありません。宗教は選挙選から切り離し、これからの米国にとってもっとも問題となる課題に焦点を当てるべきです。宗教がキリスト教かモルモン教であるかは、大統領選に候補するために必要な条件ではありません」と述べた。
一方、サザンバプテスト神学校学長のアルバート・モエラー博士は、「モルモン教は聖書的歴史的に見てキリスト教とは言えない」と述べており、「福音主義者が大統領候補者を彼らの信条に基づいて判別することに問題はない」との見解を示している。なおモエラー博士は「公的な場での競合をどのように受け止めるかについては、キリスト教徒が配慮しなければならない一つの課題でもあります。クリスチャンであっても不適格な政治指導者が存在することもあり、宗教的背景だけで決められる問題ではありません」との注意も呼びかけている。
ロムニー議員は、ジェフレス博士からキリスト者としての称賛を受けたテキサス州知事のリック・ペリー議員に対し、ジェフレス博士の発言から距離を置くように呼びかけている。ロムニー議員を擁護するクリスティー知事は「このような宗教的問題は、指導者としての資質を問う問題と関係がありません。大統領候補選その他いかなる政治運動であったとしても、宗教的背景がその人物の政治指導力の評価に影響されるべきものであってはならないと思います」と述べている。
リック・ペリー議員の広報担当者のマーク・マイナー氏はAP通信に対し、「ペリー議員はジェフレス博士からの称賛を受け付けないつもりはありませんが、ジェフレス博士の見解に合意しているわけでもありません。またペリー議員はロムニー議員もクリスチャンであると信じています。ただ、ロムニー議員が今回のジェフレス博士の言葉尻をついて、政治家として言及することは、米国内の雇用問題や経済問題改善に寄与することではないでしょう。ロムニー議員はジェフレス博士の言及について反応することで言葉のゲームを楽しんでいるだけであり、米国民はこのことを理解できていると思っております」と述べている。
ロムニー議員とペリー議員の両氏は11日夜、他の6人の共和党候補者らと共にニューハンプシャーで米ワシントンポストおよびブルームバーグ・ニュースの共催による討論会に参加した。討論会では経済問題のみ議論された。