iPhone、MacPCなど独創的な商品を次々と開発し、アップルを導いてきたアップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏が5日に56歳で死去したことを受け、米メガチャーチのサドルバック教会牧師のリック・ウォレン氏は「ジョブズ氏は現代のトーマス・エジソンであった」と同氏の遺した功績について称賛し、追悼の意を表した。
米オバマ大統領はホワイトハウスを通じて、「スティーブ氏は米国人の最も偉大なイノベーターのひとりでした。勇敢に異なる発送をし続け、世界を変えることを信じ、またそのための十分な才能を駆使して活躍されました。(スティーブ氏の死によって)全世界がひとつの明確なビジョンを失うことになりました」と同氏の死を追悼する声明文を発表した。他にも世界中で各国首脳や、ソフトバンクの孫社長、その他アップル製品と関連のある企業トップらが追悼の意を表していることが各紙で報道されている。
このような中にあって、米カンザス州ペカを拠点とするキリスト教異端グループとされるウエストボロ・バプテスト教会は、iPhoneを用いてツイッター上でスティーブ・ジョブズ氏の葬儀の最中に抗議デモを行うと発表している。6日、米クリスチャンポスト(CP)が報じた。
同教会は、既存のバプテスト教会とは関連がなく、米諸教会からは「聖書に従っていない」として異端視されており、名誉棄損防止同盟からは「扇動集団」であるとされ監視されている。同性愛を厳しく罰する活動を行っており、これまでもイラク戦争で亡くなった米兵士の葬儀で「神よ、米兵を殺していただいた御英断に心より感謝いたします」、とのプラカードを表示する活動をしたり、米兵を亡くした母親に「ホモの国(米国)のために戦ったから神の天罰で死んだのだ」と叫んだりするなどしてきた。米国だけに限らず、世界各国で同性愛を認める団体や国を糾弾する活動を行っている。今夏ノルウェーで生じた乱射・爆発テロ事件においても、同性愛者の国に対する神罰が下ったのだとして犠牲者の葬儀でデモを行うという警告を行っていた。
ウエストボロはジョブズ氏の死を受け、同団体のウェブサイト上で「人々が持つプラットフォームは神への従順を促すために用いられるべきである。しかし彼らは全ての人に、姦淫、同性愛、偶像崇拝など神に従う事とは逆の道を教えてきた。(ジョブズ氏は)巨大なプラットフォームを有しながら、それを通して神に栄光を返すことや人々に罪について教えることをしてこなかった」とのメッセージを発表した。ウエストボロは今週末に行われる予定のスティーブ・ジョブズ氏の葬儀に出席し、プラカードを携えて抗議活動を行う予定であり、ホームページ上には「あなたがたがはかない人生の中に憩いの場を見出そうとしてもやがては破滅の日がやってくるということを知ってもらいたい」と述べられている。
なお、スティーブ・ジョブズ氏の死について、ほとんどの米主流派教会指導者たちは、「テクノロジーの面で世界を変革させた人」として敬意と哀悼の意を表している。