【CJC=東京】ENI通信によると、英国では金属市場の高騰に伴い、教会堂の避雷針、鉛の雨樋、ブロンズ像、鉄製の門から鐘、さらには屋根全部まで盗難にあっている、と教会専門の保険会社『エクレシアスティカル保険』が明らかにした。同社は英国(イングランドとウエールズ)の教会のうち約9割の保険を引き受けている。
「中国、インド、ブラジルのブームで、鉛や銅の需要が激増している。教会の屋根が狙われやすく、盗難にあった教会は破産に追い込まれる懸念もある」と同社ケトリ・リンク広報担当が語った。
同社では年初から8月までに被害報告を1900件受けたが、2003年には僅か10件だった。
教会や鉄道、歴史的建造物からの銅盗難は国家的問題で、テロ攻撃以来の挑戦だ、と英交通警察は指摘する。英全土での金属盗難は月7000件から1万件に達するという。
英南東部ケント州ウッドチャーチ村の『オールセインツ教会』では、犯人は4カ月にわたって10回も進入、会堂のトタン屋根を全部持ち去ったという。僅か70人ばかりの村民が日曜日に集まるだけの教会だが、屋根の修理と雨漏りで被害を受けた絵画やオルガン修復に必要な5万ポンド(約600万円)を献金で集めなければならない。
歴史・文化的環境保護機関の『イングリッシュ・ヘリテッジ』は、銅や鉛の価格高騰を受け、修復費用負担が過重になるとして、破壊修復には以前と全く同等のものを遣うという方針を撤回した。