7日世界教会協議会(WCC)総幹事のオラフ・フィクセ・トゥヴェイト博士は、世界90カ国以上で犠牲者が生じた米同時多発テロ事件から10周年を前に、平和の文化を構築していくための声明文を発表した。
声明文でトゥヴェイト総幹事は、「米同時多発テロ事件によって、アフガニスタン、イラクで戦争が生じるなど、21世紀最初の10年間に大きな傷を残した事件となりました。10年前のテロ事件の犠牲者となったすべての皆さまに哀悼の意を表します。世界教会共同体としてともに祈り続けております。今年の夏に、故郷ノルウェーでも爆発・乱射事件が生じました。その際にテロ事件の犠牲者のための祈りや憐れみの心を表してくださることがどれほど励みになるかを実感いたしました」と述べた。
またテロリズムについて、「個人、集団、国家、あらゆる形態のテロリズムは非難されるべきものです。このようなテロ事件に対する最善の対応の仕方といたしましては、このような精神的外傷(トラウマ)が繰り返されないために、加害者が公正と安全が確保された場に引き出されることが挙げられるのではないでしょうか。私たちの多くは非暴力な対処法が暴力に対する長期的な対応の仕方として最も有効な対処法であり、公正に基づいた長期的な平和構築に向けて意味をなす対処法であることを知っています」と述べた。
WCCではエキュメニカル運動を促進し、諸宗教の対話に力を入れて取り組んでいる。トゥヴェイト総幹事は、「私たちはこのエキュメニカルな動きの中にあって、異なる信仰を持つ人々との対話に自身を捧げてきました。特にキリスト教徒とユダヤ教徒、イスラム教徒の間での対話に努めてきました。宗教には大きな力と重要性が込められています。しかし同時に信仰が捻じ曲げられ変質することによって、憎しみやテロ、戦争の原因ともなってきたことを認めなければなりません。WCCでは2013年の第10回総会のテーマに「いのちの神よ、私たちを公正と平和に導きたまえ」という祈りを採用いたしました。いのち、公正と平和はすべての宗教が大切に思うものであり、私たちはすべての宗教指導者の皆さま、良心ある人々に対し、人間の尊厳と互いの尊敬に基づいた強い関係性を築いていってくださるように、私たちと共に活動してくださるように願っています」と述べた。
今後のWCCの活動について、「2001年10月に、WCCはのエキュメニカルチーム『生ける手紙』が米国を訪問し、現地の人々を慰め支援する活動を行いました。訪問の結果、同チームからは『平和の文化』を構築する必要性が指摘されました。米同時多発テロ事件から10周年となった今、『公正な平和』のための対話と協力を促進していくために、改めて私たちの活動を集中させていきたいと考えています。平和を構築していくことは、あの嘆かわしいテロ事件から本当の勝利を得るための最も確実な道ではないでしょうか。イエス・キリストは『あわれみ深い者は幸いです。その人たちはあわれみを受けるから』『平和をつくる者は幸いです。その人たちは神を見るから』と述べておられます。いのちの神が、私たちを公正と平和にお導き下さることを願います」と述べた。