キリスト教徒とイスラム教徒が他の世界宗教指導者らとともに、「平和のための同盟に人々を集め、公正の下に和解していくべきだ」と世界教会協議会(WCC)総幹事のオラフ・フィクセ・トゥヴェイト総幹事が、8月31日、世界のイスラム教徒に向けてラマダンの終わりを祝福する手紙を送った。
手紙の中で、7月にトゥヴェイト総幹事の母国ノルウェーで生じた爆発・乱射事件の犠牲者を追悼する思いによって、キリスト教徒とイスラム教徒が互いに親しくなったこと、また北アフリカや中東で生じている目まぐるしい変化について、今後も双方が公正と平和を目指した行動を継続していくべきであると呼びかけた。
イスラム教のラマダンは、イスラム暦の第9月を指しており、その月の日の出から日没までの間はイスラム教徒は断食することが義務とされている。今年は8月1日から29日がラマダンとなっていた。
トゥヴェイト総幹事は8月31日、イスラム教徒らに向けた手紙の中で「世界中のイスラム教徒がラマダンを終えるにあたって、イスラム教徒の皆さまが信仰の人々である行いを徳のある行動に加わることで示され、また世界中の多くの貧困の中にある人たちに向けてイスラム教徒の皆さまが一致して助けていく行いを示されたことについて、貧困の中にある人々と全能の神が彼らの上に授けられた特権による賜物を共有しようとされている行動の影響が大きなものであると認識しています。今年は例年になくラマダンの月にイスラム教徒とキリスト教徒が霊的な一致を示す行動が促進されました。ともに人間性や人々を平和と公正による和解のための同盟を形成する活動に導いていくことができました。このような協働によって、多くの世界的伝統宗教にある人々の注目を引いてきたことと思います」とイスラム教徒らのラマダンの月の宗教的行為について敬意を表明した。
また、最近の世界事情について、「イスラム教徒の皆さまが生活されているいくつかの国々や地域で歴史的な変化が生じています。中東や北アフリカでは特に目まぐるしい出来事が生じています。このような目まぐるしい重要な出来事は、新たな政治体制の在り方や、グローバル社会の在り方を形成していくものと思われます。信仰の人々として、私たちは共に公正と平和、和解の道を模索し、また全ての個人の尊厳を保護し、人類の平等を守る法を保護するために活動しています。私たちはこの世界にあって苦境の中にありますが、これからも信仰の人々として人々が真実と正義に向かうための共通のビジョンをもって活動を模索していくことができればと願っています。私の故郷ノルウェーでも最近恐ろしテロ事件が生じました。悪の活動へ関わった個人的な行為がヨーロッパ社会におけるイスラム社会において、誤解を与えることになってしまいました。このような恐ろしいテロ事件が生じた後にあって、ノルウェーでキリスト教の教会とイスラム共同体が信頼のおけるオープンな関係を強化できていることを嬉しく思います。私たちは共にテロ活動を防止し、イスラム教とキリスト教が世界中すべての地域において対話と協力と通じて将来の活動を共にして行く必要があると思います」と述べた。
またWCCの宗教全般に対する姿勢について「WCCでは5月にジャマイカ首都キングストンにおいて国際エキュメニカル平和会議(IEPC)を開催し、1000人ほどのキリスト者が集いました。IEPCにおいては平和と異宗教間の対話を促進し、『平和がすべての宗教において核心となる価値観である』ことを認識し、あらゆる人々の間にあって平和が拡張していくための活動に取り組んでいくことで思いを一つにしました。今後異宗教間の対話を強化していくことで、すべての世界宗教の土台を形成していくことができればと思っています。WCCはラマダンの終わりを祝福し、ラマダンの終わりが私たちすべてが平和を形成していくための機会を提供するきっかけとなるように祈っています」と述べた。