1917年のロシア革命の影響を受けて国内外で分裂していたロシア正教会と在外ロシア正教会(本部:ニューヨーク)が17日、80年ぶりに再統合した。モスクワの救世主キリスト大聖堂で同日行われた合同礼拝で、ロシア正教のアレクシー2世総主教と在外ロシア正教の最高指導者であるラブル府主教が再統合を合意する文書に調印。正式に両者の統合が決まった。
今後、在外ロシア正教は宗派的にはモスクワの総主教を長とし、ロシア正教に属する形になる。しかし、聖職者の任命や財産の管理などの自治はそのまま維持される。
ロシア革命後、旧ソ連政権は非宗教化政策を強く打ち出し、国内の聖職者、信徒を弾圧。1927年、ロシア正教が共産主義政権に対して「忠誠」を宣言するが、それに対して欧米諸国に亡命していた聖職者、信徒らが反発。以来、在外ロシア正教が組織され、分裂関係が続いた。
1991年の旧ソ連崩壊後、再統合が可能となったが「忠誠宣言」をめぐって和解交渉は難航。03年に、プーチン大統領が在外ロシア正教本部を訪れ、ラブル府主教と会談。アレクシー2世の和解を求める意向を伝え、両者が「忠誠宣言」を歴史上での悲劇的な妥協とみなすことにより、正式的な関係が再開した。
現在、ロシア正教は国内外に1億6千万人の信徒を擁し、在外ロシア正教は約40ヶ国に50万人の信徒を持つとされている。