【CJC=東京】クロアチア・カトリック教会ポレッチ・イ・プーラ教区が、ダイラにある修道院の帰属をめぐってベネディクト修道会と対立、バチカン(ローマ教皇庁)の介入という異例の事態になった。
問題の修道院は共産主義体制下のユーゴスラビアで接収されたが、体制崩壊に伴い、教区に返還された。しかしベネディクト修道会のイタリア本部が補償を要求、バチカンが任命した委員は修道会側に立った。一方、同教区のイワン・ミロヴァン司教は要求額を補償したら、教区が破産する、と主張している。
7月に入り、教皇べネディクト16世が紛争解決のため特別代表を任命した。
バチカンは8月2日、任命は「教会内部に正義を再確立することだけを目的にした」という声明を発表した。声明は、長期にわたる紛争が「政治問題化し、しかもデマを交えた」ものになっていることへの不満を示している。
批判のねらいは、反バチカン感情をかき立て、決裂に持ち込もうとするクロアチアの政治家と、教皇の決定を撤回させ、支払いを逃れるためヤドランカ・コソル首相に繰り返し援助を求めていたミロヴァン司教を念頭に置いたものと見られる。