【CJC=東京】英国に現存する聖書としては最古の『カスバート福音書』を所有者のカトリック修道会『イエズス会』が手放すことになり、サザビー社のオークションに掛かるまでになっていたが、大英博物館が900万ポンド(約11億5000万円)で購入した。
イエズス会の報道担当は、「250年近く所有するというのは特権だった。しかし様々な要請に対応するには資金調達が困難で、理事会は売却を決意した」と語っている。
『カスバート福音書』は『ストーニーバースト福音書』として知られているもので。『ヨハネによる福音書』の手書き本。赤皮表紙で保存状態もよい。イングランド北部で作られ、698年頃にノーザンバーランド海岸近くのリンディスファーンに聖ガスパートが埋葬された際に一緒に葬られた。それが1104年に、バイキングの襲撃を避けるために移されたダラム大聖堂で聖ガスバートの棺の中に見つかった。
博物館のリン・ブリンドリー館長は、「ノルマン征服より4世紀も前に栄えたアングロ・サクソン期から残された軌跡とも言ってよい」と言う。
今後は図書館と、ダラムのユネスコ世界遺産に指定された大聖堂で公開されることになる。