英国内の信仰指導者らは、ノルウェーで生じた爆発・乱射事件を受け、宗教は暴力を決して正統化するものではないとの共同声明文を発表した。
ノルウェー警察はアンネシュ・ブライビーク容疑者への尋問を続けている。同容疑者はノルウェーオスロでの自動車爆破、その2時間後のウトヤ島での乱射事件に関わった疑いで先月逮捕された。
同容疑者の1,500ページに及ぶマニフェストでは、自身のことをイエス・キリストや神との個人的な関係を持たない文化的なキリスト教徒であると表現しているにもかかわらず、メディアでは同容疑者を「クリスチャンファンダメンタリスト」「キリスト教右派・過激派」などと表現して報道され続けられた。
これを受け、クリスチャン・ムスリムフォーラム、スリー・フェイス・フォーラムその他英国内信仰団体は今回の事件が宗教の名を借りて行われた行為であることを非難し、「私たちは今回の事件を通して再度、いかなる宗教であろうと、暴力を奨励したり、無実の人を攻撃することを勧める宗教はないことを伝える機会としたいと思います。テロリズムはテロリズムであり、暴力は暴力です。どちらも宗教的なものではなく、宗教的に動機付けられたものでもありません。ブライビーク容疑者による攻撃がキリスト教によって誘発されたという見方は完全に否定します。キリスト教その他全ての宗教は人命を尊重することを教えています」と共同声明文で発表した。
英宗教指導者らは、77人もの死者を計上したノルウェー爆発・乱射事件に衝撃を受けており、今後の犠牲者のケアやブライビーク容疑者に対する法的措置に対してイニシアチブをとって支援していく予定であるという。またすべてのヨーロッパの人々に、平和のための対話を続けて行き、ブライビーク容疑者に倣うような暴力を行うことなく、宗教や政治的スタンスなどの枠組みを超えて全ての人々と調和した関係を築いていくことを呼び掛けた。
また少数派の共同体に対するスケープゴート的な発言、否定的な見方をすること、特にマスメディアにおいてそのような見方を報じることのないように警告した。声明文では「私たちは偏見を最小限にとどめ、互いに良い関係を築くためにそれぞれの宗教・立場の類似性や違いについて互いに分かち合い続けていくことにこれからも取り組み続けます」と述べられた。
共同声明文はクリスチャン・ムスリムフォーラムディレクターのジュリアン・ボンド氏、スリー・フェイス・フォーラムディレクターのスティーブン・サショウア氏およびクリスチャン・ムスリム・フォーラム共同議長のシャイク・イブラヒム・モグラ氏によって署名された。