世界で最も大きな宣教団体の一つ、キャンパス・クルセード・フォー・クライスト(CCC)は19日、名称を「Cru(クル)」に変更すると発表した。旧名称中の十字軍を意味する「クルセード」を外すことで、より効果的な宣教をしたいとしている。正式な変更は来年初旬から行われる予定で、適応されるのは米国内のみ。
CCCは声明で、クルセードという言葉について「我々がまさにつながりを持ちたいと願っている人々に対して障害として働いてしまっている。また、我々との協力を望んでいる多くのクリスチャンに対しても障壁となり、クルセードという言葉は否定的に捉えられてしまう」と説明。今年設立60周年を迎えたCCCは、すでに米国内では同団体の愛称として使われてきた「Cru」を、団体の正式名称として採用することを決めた。
米ニューヨークタイムズ紙によると、クルセードの用語は、米国内のプロテスタント福音派では、宣教団体などで一般的に使われてきた。しかし、現在191カ国で2万5千人以上のフルタイムスタッフをかかえて活動する同団体にとって、中世欧州のキリスト教徒による「十字軍」を意味する同用語を名称中で使用することは、特にイスラム国において非常に障害となっていた。
CCCの調査によると、聖書に興味を持つ人々の5人に1人は、旧名称を聞いた後、CCCから聖書の話を聞くことに興味を失ってしまうと答えたという。新名称は30人のスタッフによるチームで約2年にわたって検討され、その間提案された名称は1600以上に上った。
一方、新名称は、クルセードと同時にキリスト(クライスト=Christ)の単語も除いてしまうことになる。これについてCCCは、結果的に「Cru」にはキリストという言葉が含まれていないが、キリストという言葉を外そうと意図したものではないとしている。実際、今回の名称変更によってキリストの福音を世界に伝えるという使命をより効果的に行える。「Cruという名称は、明らかなキリスト教と関連のある名称を嫌う人々とキリストについて話し合うことを可能にしてくれる」と言う。
CCCのスティーブ・ダグラス会長は、「我々の使命とDNAは同じままだ」と強調。同団体の使命は「この地球上の全ての人々にイエスに対して『はい』と言えるよう機会を与えることだ」と語った。
CCCは1951年、ビル・ブライト、ヴォネット夫妻によって米UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で始まった。ビル氏は2003年にすでに亡くなっているが、ヴォネット氏は今回の名称変更について承認しており、ビル氏が同団体の初期から「クルセード」の名称変更の必要を感じていたことを言及。「名称を変更するのにふさわしい時だと思う」「これ(新名称)は、現時点でのふさわしい名前」とコメントした。