【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)福音宣教省局長のサヴィオ・韓大輝(ホン・タイファイ)大司教(香港出身)は、今後さらに教皇の同意なしに司教叙階が行われれば、中国とバチカンとの関係に「新たな逆行」となる、と7月12日語った。「政府と中国の為政者は、教会は政府によって管理されるべきだ、と確信している」とイタリア紙『ラ・スタンパ』とのインタビューで語ったもの。
同大司教の指摘は、広東省汕頭(スワトー)教区で14日に、ヨセフ・黄炳章(ファン・ピンザン)神父が教皇の任命を得ないまま司教に叙階される僅か2日前に行われた。
中国ではこの9カ月間、教皇の承認なしの司教叙階が相次いでおり、黄神父は3人目。いずれの叙階式典も中国政府公認の中国天主教(カトリック)愛国会が主宰した。同会は教皇の権威を認めていない。
韓大司教は、「2010年11月と今年6月29日の不当叙階で、中国政府が『50年代』に状態を後退させた」と言う。「彼らは、司教を政府の監督下に叙階したいのだ。わたしたちは関係密接化を図って段階を踏んできたのに、と驚いている」として大司教は、カトリック教会が共産党政策の間接的な被害者となった、と信じると言う。
「『政治局』で、最高指導者は課題を全部こなしている。中国で大変化が起きるまでにまだ18カ月ある。胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席(共産党総書記)の交代は必至だ。保身のため皆が非妥協的な左傾色を打ち出そうとしている。選挙運動の類型だ」とも韓大司教は指摘する。
12日のインタビューは、福音宣教省が6月に楽山教区の不当叙階に関わった司教に警告を発した直後に行われていることが注目される。
韓大司教は、問題の司教の中にはすでにローマに「圧力下にあること」や、「参画を強制された」と説明して来ている、ことを明らかにした。ただ中には「何事もなかったかのように自分の教区に戻った」司教もおり、「信徒の間に不安を引き起こしている」と言う。