6月16日から19日まで中国南京で世界教会協議会(WCC)によって開催された朝鮮半島の平和と統一に関するエキュメニカルフォーラムにおいて、政府組織が沈黙を保っている北朝鮮飢餓対策に関する深い懸念の声が沸き上がった。
WCCの朝鮮半島の平和、再統一および開発に関するエキュメニカルフォーラム運営委員会(EFK)では、各国諸教会およびエキュメニカル団体に対し、政府や国連・欧州連合(EU)に対し北朝鮮を孤立化させるための政治的手段として食糧を利用する政策を中止するよう呼びかけている。
これまで北朝鮮の食糧難の主たる支援提供国となっていた米国と韓国が、北朝鮮への食糧支援を取りやめ、北朝鮮が核開発や軍事活動を行う政策に対する報復措置を課すようになり、北朝鮮国内では深刻なききんが懸念されている。北朝鮮への国際的食糧支援を行わないことで、北朝鮮国内の治安が脅かされることも懸念されるという。
韓国キリスト教教会協議会(NCCK)のキム・ヨンジュ総務は「韓国のキリスト者たちは飢餓に苦しむ北朝鮮の兄弟姉妹たちに食糧支援を行う固い決意をもって挑んでいます。NCCKは北朝鮮で飢餓に苦しむ人々に拡大支援を行うための資金的援助に取り組んでいく予定です」と述べている。
韓国政府が同国のいかなる民間団体および宗教団体も北朝鮮国民に対する支援を行うことを禁じているにもかかわらず、ここ最近でNCCKは北朝鮮に貨物船で172トンの食糧を輸送した他、EFKや韓国諸教会とともに資金的支援も行ってきたという。
WCC国際関係委員会(CCIA)によって組織されたEFKは欧州、北米およびアジアのWCC加盟教会代表者らから成り立っている。NCCKによる北朝鮮支援については、韓国政府が「韓国の教会団体が、政府の承認なしに北朝鮮国民とコンタクトを取り支援を行うことは正しい行いではない。韓国政府はこの様な行為に対し必要となる措置を取る予定である」と非難声明を出している。
一方NCCKのキム・ヨンジュ総務は「韓国政府が禁じようとも、私たちは苦しみの最中にある隣人を愛せよというイエスキリストの命に従っていくつもりである」と述べている。
CCIAディレクターのマシューズ・ジョージ・チュナカラ博士は「北朝鮮への食糧支援を禁止する政策が核兵器製造を行う北朝鮮政府を制裁する有効な手段と見なす国や政策決定者が存在していますが、この政策は同国の貧しい人、声なき人々を罰する武器となってしまっているのではないでしょうか。朝鮮半島の平和について交渉を前進させるには、食糧支援を再開させるのが最善の戦略であり、北朝鮮政府に対して食糧支援を行わず対立する姿勢を保っていても、朝鮮半島の平和に関する交渉を進める解決手段にはならないと思います」と述べている。
朝鮮基督教連盟(KCF)中央委員会委員長のカン・ソンヨプ牧師はWCCの調整を通したグローバルエキュメニカル共同体の結束と支援の努力に感謝の意を表する文書を書き送っている。
キム・ヨンジュ総務は「NCCKは北朝鮮への食糧支援を今後も行っていく予定です。韓国の諸教会も北朝鮮で飢餓に苦しむ人々を支援するために結束して支援していく予定です」と述べている。