【CJC=東京】カトリック教会の救援・開発関係165団体で組織している『国際カリタス』は5月23日、ローマで創設60周年記念第19回総会を開催、代表約300人が参加した。『国際カリタス』がカトリック的な特質を失っている、としてバチカン(ローマ教皇庁)が懸念を露わにしている中での開催となった。バチカンの懸念が表面化したのは、レスリー=アン・ナイト総主事の再任に反対の姿勢を示したことにある。
総会は24日、任期4年の会長にホンジュラス・テグシガルパ大司教のオスカル・ロドリゲス=マラディアガ枢機卿(68)を約4分の3の信任により再選した。
総会報告で同枢機卿は、レスリー=アン・ナイト総主事の働きを賞賛した。同総主事再選立候補に対してバチカン(ローマ教皇庁)が反対していたことが、加盟団体に「痛み」を感じさせた、と遺憾の意向を示した。
総会は26日、後任総主事にフランスの加盟団体『スクール・カトリーク』のミシェル・ロイ氏(56)を選出した。
バチカン国務長官タルジチオ・ベルトーネ枢機卿は開幕に当たって、カトリック教会の救援・開発連合体は、キリスト教色を明確に打ち出すべきだ、と説教した。
「教会の慈善活動は、キリストの行いと同様、緊急なものであっても、人たちの物質的な欲求に応えることに限定されてはならない」と言う。「人道的援助は、キリスト教の独自性から離れ、全ての人を喜ばそうと“中立的”なアプローチを採用するようになると、緊急の目標に到達した場合でも、男女双方に彼らの十分な尊厳に叶った立派なサービスを提供出来ないという危険を冒すことになる。そうなると、意に反しなくても、援助する側は援助を受ける人たちの、他の関係性とか社会問題への接近といった物質的な性向を助長するようになる」と語った。「一言で言えば、教会は単に慈善を行わなければならないのではなく、キリストがされたように為さねばならないのだ」と言う。
またバチカンの説教師ラニエロ・カンタラメッサ神父は「隣人を愛する人が全部キリストを愛してはいない。しかしキリストを愛する人は、皆隣人を愛する」と語った。
会長のロドリゲス=マラディアガ枢機卿は、「聖座との間で、国際カリタスの法的神学的な二重の性格について建設的な対話」が進められている、と述べた。枢機卿は、バチカンの総主事再任反対が「苦情を招いた」とし、しかし「彼女が達成したことは継続されなければならない。わたしたちには、強力な事務局と指導者がこれまで以上に必要だ」と付け加えた。
また枢機卿は、カトリックの独自性を強調することは、改宗を意図するものではない、と指摘した。
枢機卿は、2月以来、国務省との対話が進められている、とし、2015年の次期総会までの『国際カリタス』の地位や暫定規則を次の執行委員会と教皇が採択するよう提案した。