前回は、セルチャーチの基本概念と目的について報じた。セルチャーチの導入によって伝統的な教会像に縛られることなく、会堂中心の教会活動から開放され、初代教会のように教会の本質に戻って伝道、教育、教会成長を行うことができる。第2回目は、実際日本ではどのようにセルが導入され、どのような活動を行っているのか調べた。ネット上で検索できるセル教会はそう多くはない。ここでは、ホームページを公開し、セル化を取り入れた教会として東広島緑の牧場キリスト教会(単立・酒井敬仁牧師)について紹介したい。
同教会のホームページ(http://ww35.tiki.ne.jp/~gospel/)を開くと、美しいメロディーとともに扉のページが開いた。セルグループのページには、「セルグループ教会へようこそ」というタイトルとともにセルグループの取り組みについて詳しく書かれている。セル教会を目指したきっかけ、いきさつ、セルリーダについて、セル教会の問題点などが見やすく整理された形で載せられていた。
サイトによると、同教会の酒井敬仁牧師は、伝道の働きをまかされた大学生のころ新しく教会に来た人にアンケートを行い、その結果に驚いたそうだ。それは、初めて来た人は牧師と話すより、信徒の生の声を聞きたいということであった。その後、神学校を経て牧師になった酒井牧師は、新しく来た人のために分級礼拝というスモールグループを設け、メッセージを深め合う自由な礼拝を始めた。この集まりは御言葉を咀嚼し、消化する時間となり、イエス様のすばらしさを多面的に知ることが出来た。しかし、問題点もあった。教会の活動が会堂中心であり、内向きになってしまうこと。兄弟姉妹としての励まし合いや助け合いが表面的になりやすく、交わりが未消化に終わってしまうことであった。
このことがきっかけとなり、真のクリスチャン共同体を目指して、本当の教会の在り方を探し求めていく必要を感じたと述べている。その問題の解決策として、「セルグループ教会」に辿りついた。1995年11月よりセルグル−プ教会について情報を集め、試験的セルグループの結果も踏まえて、1997年春の教会総会で「セルグル−プ教会となることを目指す」ことを決議をした。サイトでは、「これからもセルグル−プは次々に細胞増殖を繰り返していくことでしょう。夢はどんどんと広がっていきます。人々が迷い、深い不安を抱えている現代の日本にあって、このような真のクリスチャン共同体がつくられていくことを本当にうれしく思います。」と述べられている。
セルリーダーの資質についても述べている。シェパードと呼ばれるセルグループリーダーになるには、神さまを愛し、自分を愛し、メンバ−を愛していることと、自分の属しているセルグル−プがやがて細胞増殖するというビジョンを持っていることを条件として挙げている。
同教会では、セル化したことで課題も抱かえていることを明かしている。それは、セルグル−プの毎回の集まりで語り合うテ−マをどのように準備していくか。新しくクリスチャンになりたいと願う人々が次々に出てきた場合の準備は誰がするのか。セルグループを納得していない人々とビジョンを一つにしていく必要性があることなどだ。しかし酒井牧師は、「このように課題はありますが、夢は現実となっていき、主の共同体は広がっていきます。セルグル−プ教会が日本の至るところに生まれてくるように私たちは祈っています。」と締めくくっている。