イエズス会の日本発の中等教育機関「有馬のセミナリヨ」が創立された長崎県北有馬町で16日、歴史や研究文献、卒業生のその後などを集めた関係資料集(A5判、286ページ)が出版されたことが26日までにわかった。「有馬のセミナリヨ」は、イエズス会東インド巡察師のヴァリニャーノが1580年、日本にキリスト教を根づかせるため同町の日野江城に建設した宣教師の養成学校。神学だけでなく、ラテン語、音楽なども教え、1614年まで続いた。
同町は00年から、地元に埋もれた歴史文化遺産を研究し、継承することで町おこしに生かしていく事業に着手。県内外のキリスト教史研究者らでつくる「有馬のセミナリヨ建設構想策定委員会」(片岡千鶴子代表)が研究支援事業として資料集を編集した。
ローマのイエズス会に保管されていた、セミナリヨの教育方針や運営規則など当時の報告書や、国内の関連文献、卒業生名簿やその後など研究論文を集めた。策定委は「多角的にこれほどの資料を集めたのは今回初めて。困難を乗り越え短期間に優れた国際人を送り出した教育機関で、再評価されるきっかけになれば」と話している。