「知識、援助、希望を世界の国々へ」をモットーに、平和と愛を伝えようと大海原を駆け巡る世界最古の現役客船「ドゥロス号」(ギリシャ語でしもべ・仕える者という意味)が11日、博多港に入港する。世界中から集まった350人の乗組員はキャプテンをはじめ全員ボランティア。世界の国々に奉仕することを喜びとしている。今回7年ぶりの訪日で、博多、金沢、新潟を巡り、各地で様々な国際文化交流を通して神の愛を証しする。
ドゥロス号は、ドイツに本部を置くNPO団体「GBA'Good books for all'(すべての人に良い本を)」が運営している現役客船。これまで104カ国を巡り、良書と奉仕を通して世界の人々に仕えてきた。今回の福岡・博多寄港では、51のチームを地元の教会、学校、老人ホーム、大学のサークル、ホームレスの現場などに派遣する。
チームはそれぞれ1〜10日間、子ども会を手伝ったり、英会話クラス、ペンキ塗り、またスポーツを通して地域の人々と交流する。遠くは、京都、熊本、宮崎まで派遣される。
今回、2月末から先発隊が入り、この地域の様々な必要を見て、船内で学校プログラム、中高生向けのイベント、女性カンファレンス、ホームレス昼食会、教職者ディナーなどが予定されている。また地元からボランティアや通訳者も募集しており、インターナショナルな環境でクルーの生活と仕事を共に体験するプログラムも用意されている。
一般公開中はすべてのプログラムを無料で提供しており、世界各国から集まるドゥロス号の人々の文化を紹介する「オープン・デイ」、アジア・アフリカ・ヨーロッパなどさまざまな国の文化に触れてきた乗組員との交わりを楽しむ「インターナショナル・カフェ」や「英会話ラウンジ」、そして同船最大の目玉、6000種類(50万冊)に及ぶ世界最大の「船上書店」へ行くことが出来る。また船外プログラムとして、各国の民族ダンスやドラマを披露する「インターナショナル・ナイト」が西南学院中高部講堂で行われる。
有料の船内ツアーガイドでは、ブリッジ、エンジンルーム、ダイニングルームなどを見学し、船内の様子を見ることが出来る。現在乗組員は0歳から60歳代までの幅広い年齢構成で、50カ国から乗船している。平均年齢は23歳。2年間の奉仕期間があり、その間ボランティアとして世界中を巡って奉仕活動を行う。日本人乗組員は6人だ。
日本人クルーの後藤献一氏は先発隊として、日本での受け入れ準備を進めている。また、九州各地から40人のボランティアが参加し、期間中の運営を助ける。
今後の予定は、博多に22日まで、金沢に5月24日から6月5日、新潟に6日から19日まで寄港、その後韓国へ向かう。
また、金沢・新潟の寄港時中のチーム派遣やボランティア参加を受け付けており、老朽化のため最後となるであろう「ドゥロス号」の訪日という機会を逃さないよう、多くの人々へ参加を募っている。
「ドゥロス号」(1914年、米国建造)は全長130.35mでノアの箱舟とほぼ同じ長さ。全幅16.60m、喫水6.50m、6804総トン。現役の乗客船としては世界最古。93歳というギネスブックにも載る船であり、有名なタイタニック号の建造2年後に造られた。過去3回持ち主が変わり、それに伴い名前も変わった。公式ホームページ(http://www.doulos.mydns.jp/)。