1994年4月のアフリカ・ルワンダの虐殺を描いた映画「ルワンダの涙」が1月27日からTOHOシネマズ六本木ヒルズなどで順次公開されている。
この作品は、英BBCの報道番組「ニュースサイト」の報道記者、デヴィッド・ベルトンの実体験に基づいて描かれている。ベルトンがルワンダで出会ったキューリック牧師は、ツチ族の人々の国外逃亡を支援していたことをベルトンに告白する。しかし、キューリック牧師は後に何者かに殺害されてしまう。
現地で治安活動を行っていた国連軍が依然として混乱の続くルワンダから早期撤退を決めたことにより、人道支援を行っていた支援団体の職員、キリスト教の牧師たちは、残留か、退去かの選択を迫られる。映画では、残ることを決意して命を張って人々を助けた牧師の姿も描かれている。
ベルトンとドキュメンタリー製作者のリチャード・アルウィンがルワンダ虐殺を映画化しようと執筆を始めたとき、最も強調したかったのは、この救うべき人々を見捨てた、事件から目をそらして逃げ出した、という感覚だった。アルウィンは映画の公式サイトでこう寄せている。
「ある意味、ルワンダの虐殺事件全体が、人間社会の失敗を意味したものだった。私自身ジャーナリストとして失敗した。同時に、学校から逃げた教師たち、問題未解決のまま立ち去った外交官たち、撤退を命じられた国連軍の兵士、国外退去用の航空機にまっ先に乗り込んだNGOのスタッフたち全員も、内心は自分と同じ気持ちでいたと思う。助けを求める友人たちを見捨てたんだ。その後で友人たちの大半が孤立無援で死んでいったというのに。」
アルウィンは、国連がルワンダから軍を撤退させ、ボスニアに向かわせた史実について「安保理の腰抜けぶり」などと非難している。
映画には、虐殺の生存者もエキストラとして多数出演している。ある出演者は「私が映画に出ることにより、この惨劇が二度と起こらぬようにという希望を持ちたかった」と話した。