救世軍が、12月に全国の主要都市で実施する歳末助け合い募金、「社会鍋」の協力を呼びかけている。集まった献金は国内外の災害被災者や街頭生活者への支援、アルコール依存症患者の更正支援、母子家庭、独居老人、病院、刑務所など各施設の慰問に用いられる。
救世軍の発表によると、今年は全国40カ所で、東京では12月11日から30日まで銀座、新宿、渋谷、上野、表参道、池袋など8か所で、社会鍋を行う。各地で三脚につるした募金用の鍋を前に、金管楽器の演奏をバックにして募金が行われる。
日本の社会鍋は、日露戦争で失業者が増えた1909年に始まった。寄せられた募金は、やりくりに困った貧しい家庭に、みかんやもちの入ったかごを配布する歳末助け合い運動のために用いられた。
全国社会福祉協議会によると、救世軍の社会鍋は、歳末の慈善活動のさきがけとして、当初から方面委員(現民生委員)の活動にも影響を与えてきた。
救世軍による社会鍋は海外でクリスマス・ケトルと呼ばれ、1894年、米サンフランシスコで貿易不振のあおりを受けて失業した船員にスープをふるまったのが始まり。1900年には世界各国の救世軍に活動が広まった。各地では、クリスマスの時期になると毎年、さまざまなかたちで慈善活動を展開。50万世帯がこれらの奉仕を通して、キリストの愛に触れることになる。
各国の救世軍はウェブサイトなどを使って社会鍋への協力を広く求めている。救世軍韓国本営は11月25日までに76地域に230個の社会鍋を設置したと発表した。