在日大韓基督教会(李聖雨総会長)は22日、石原慎太郎・東京都知事の在日韓国人に向けた差別発言に対する抗議文を発表した。
石原都知事は8月30日、日本からの2016年度オリンピック立候補地を決定する日本オリンピック委員会(JOC)の投票前のプレゼンテーションにおいて、福岡市を応援するためにすでに演説を行っていた在日二世の姜尚中・東京大学教授を「どこかの学者さん」と表現。さらに、東京都が立候補都市に決定したことを祝賀するパーティーの挨拶の中で、「怪しげな外国人が出てきたね。生意気だ、あいつは」などと発言した。
これに対し、抗議文では、「この発言は、姜尚中さん個人への中傷に止まらない、在日外国人への差別発言である」と強く非難。人種、宗教、政治、性別、その他の理由に基づく国や個人に対する差別は、いかなる形であれオリンピックの精神とは相容れないことが明記されている、オリンピック憲章の基本原則に反するものだと指摘した。
また、「石原都知事は、9月15日に都内であったシンポジウムで、国の治安対策を批判する中で、『不法入国の三国人、特に中国人ですよ。そういったものに対する対処が、入国管理も何もできていない』と、『三国人』という在日韓国・朝鮮人に対して差別的に使用されてきた言葉を用いると共に、中国人への差別・偏見を助長する発言を行った」と指摘。これまでの一連の石原都知事の発言が、東京都が打ち出す人権施策推進方針に真っ向から反対した内容であり、「世界において東京都が『国際都市』であるとの認知を受けることを遠ざけてしまう発言であったと言える」と述べた。
最後に、「私たちは、イエス・キリストを信じるものとして、神から与えられた生命はすべて尊いものであり、その与えられた生命を輝かすことが、私たちの社会が進むべき方向であると信じています」と語り、「そのことが記された東京都人権施策推進方針やオリンピック憲章の精神に、石原都知事が立ち返り、今回の一連の発言を謝罪・撤回すること」と同時に、「東京都が、真の国際都市にふさわしい人権を大切にする他民族・多文化共生都市となるべく積極的な施策を講じること」を求めた。