「イエスは会堂を出るとすぐに、ヤコブとヨハネを連れて、シモンとアンデレの家にはいられた。ところが、シモンのしゅうとめが熱病で床に着いていたので、人々はさっそく彼女のことをイエスに知らせた。イエスは、彼女に近寄り、その手を取って起こされた。すると熱がひき、彼女は彼らをもてなした。」(マルコの福音書1章29節から31節)
イエス・キリストは伝道の初めから、力ある業によって人々を癒されました。ここではシモンの姑(しゅうとめ)を癒されました。彼女は癒されると直ぐにイエスや弟子たちをもてなしたのです。
今日はこの箇所から、“仕える力”は主から来ることを語るように主から示されました。主を喜ぶことは私たちの力です。今、弱さを覚えているとしても、祈り求めるならば、主は力を与えてくださいます。私たちには力がなくても、共にいてくださる主が力を与えてくださるから大丈夫です。
イエスから奉仕の力が来ることは、イエスが人を変える力を持っておられることを示します。即ち、―
1.イエスには人を変える力がある
変わらなければと思っていても、変えることが難しいのが他でもない自分自身です。人を変えるということは本当に難しいことです。
しかし、イエスには人を変える力があります。信仰には人を変える力があります。ビル・ウィルソン師が何年にも亘って語っているのは、「ひとりが変われば、そのひとりの力で世界を変化させることができる」というメッセージです。2年前の集会の終わりに師と共に自己の変革を願い求めて、多くの人々が涙をもって祈りました。本当に恵まれた、霊的空間の満ち溢れる最高の集会でした。
クリスチャンとして変化を期待すべきです。今回のビル・ウィルソン集会に再び参加した人々の中に、私を呼びとめて「2年前の集会のあと神学校に入りました」とか、「あのあと開拓伝道を始めました」「あのあと献身しました」などと報告してくれた方々がおられ、私は心から感謝しました。彼らは、本当にあの時、人々の心の中に変化が起こっていたことを証明してくれました。
人の眼には無駄に見えることではあっても、イエスの与えてくださる信仰には、人を変える力があります。
2.イエスと共にいるときにだけ働く力
信仰には人を変える力がある。しかしこの信仰は、イエスと共にいるときに働くのです。イエスの無い信仰は、神を仰ぎ見ることがない、単なる信心です。信仰は、神を仰ぎ見ます。そしてその神とはイエスです。
イエスは人の心の内面から汚れを取り除き、その腐(くさ)れを除去し、捻(ねじ)れを正し、根元から変化させてくださるのです。クリスチャンとして真直に歩ませてくださいます。クリスチャンはキリストが内に在る者です。キリストがおられないなら無意味です。タコ焼きにタコが入ってないようなものです。
イエスが共におられるから、クリスチャンは「私が弱いときにこそ、私は強い」と告白するのです。
3.助けられた者に仕える力を与えられる
イエスの癒しは、単に病気が治るだけでなく、それ以上のものです。シモンの姑が元気にされて、イエスと弟子たちをもてなしたように、私たちも強められて主のために仕えるようにされるのです。彼女は熱が引いて喜んだだけではありません。癒された余力をもって周囲の人々に仕えました。イエスは助けられるしかなかった人々に、人々を助ける力まで与えてくださる。私たちは強められて、周囲の人々を力づけ励ます存在になるのです。それがイエスによって与えられる信仰の力です。
これまで助けられる一方だった者だとしても、これからは成長し、周囲の人々を支え、役立つ存在へと変化するのです。イエスによって大きな力を与えられ、自分自身の幸福だけを求める者から、人のために役立ち神のみこころにかなう者へと変えられ、祝福に満ちた人生を歩むことができるのです。
◇
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など、多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。