神戸JOCS(日本キリスト教海外医療協力会)の集いが7月8日、日本キリスト教団神戸栄光教会で開催された。講演者は初代JOCSインドネシア派遣ワーカーの梅山猛医師。
JOCSの設立後すぐワーカーとして海外へ派遣された梅山医師。今でこそ、JOCSのワーカーも必要最低限の給料と保険が保証されているが、当時JOCSは経済的に厳しい状況のNGOだった。また海外に行くこと自体も珍い時代であったにもかかわらず、長い時間をかけて舟でインドネシアへ家族を連れていったという。
梅山医師は講演会で「インドネシアでは日本人を良く思っていなかったが、日本から苦労してきた医師を大変喜んで出迎えてくれた」などのインドネシアでのエピソードを語った。
時代は変わったが、その時代に自分の人生をかけてインドネシアへ出発した梅山医師の決意は今の時代に通じるものがあるという。同公演会に参加したJOCSの渋江さんは「何年たっても仕事を辞めてまでワーカーになる人々の中にある熱情は変わらないと感じた。いつもどのように弱い人と共に生きるのか、自問自答しながら生きていきたい」と語った。
講演会では、北川恵以子元ウガンダ派遣ワーカーによる最新のウガンダでの活動報告ビデオも上映された。その上映会後、梅山医師は「当時出逢ったインドネシアの貧しい人々とウガンダのHIV感染者の苦しむ姿が重なった。どの時代も弱く苦しむ人がいる」と悲痛な胸の内を語ったという。
JOCSとは、「わたしがあなたを愛したようにあなた方も互いに愛しなさい」という聖書の聖句に基づいて活動しているNGO団体。1960年の設立以来、医療に恵まれない地域の人々が自分自身の力で健康を守れるよう、地域の人々と共に保健医療活動を進めることに重点をおいている。物やお金をおくるのではなく、そこの地域に適した保険医療の向上に協力することでそこに暮らす人々と共に歩み続けている。
梅山猛医師のプロフィール
1961年から67年までインドネシアのバンドン市にあるインマヌエル病院で医療活動を行った。内科・小児科。帰国後は京都で開業医をしつつ、京都地区のJOCS支援活動の中心メンバーとして関わる。最近では以前の自身の著書を再発行するなど意欲的に活動している。