5日、牛込聖公会聖バルナバ教会(東京・新宿区)にて「『罪の裁き』から『きずなの回復』へ」と題して、アメリカ東部メノナイト大学教授ハワード・ゼア氏による講演会が行われた。
講演会を主催した「死刑を止めよう」宗教者ネットワークによると、講演会では、50人ほどの関係者ら、その他一般の人々が集った。
ゼア氏の講演は、死刑問題に関する深い聖書的見解が含まれており、また講演会参加者もキリスト教関係者が多かったため、質疑も含めて宗教者ネットワークとしての独自性を出すことができたという。宗教者ネットワークではキリスト教だけでなく、仏教、神道など他宗教信者との交わりを持つことを目的としているが、今回の講演では残念ながら仏教・神道関係者の参加は見られなかったという。
ゼア氏は実務家として1978年に米国初の被害者加害者対話を試行し、受刑者と共に被害者への感受性を高める集中セミナーを開いた。また法曹家に対する教育プログラム、死刑の事案に被害者の声を取り込む運動を展開した。さらに犯罪被害者、終身受刑者をテーマにしてフォトエッセイ集を刊行しており、受刑者を対象にカメラ教室を開くなど多岐にわたって活躍している。理論家としては1990年、『Changing Lenses』(邦訳『修復的司法とは何か』)を刊行した。
ハワード・ゼア氏は6月27日から7月6日まで来日し、東京聖書学院、早稲田大学、東洋大学などで主に牧師や宣教師を対象にした講演会を行った。今回の講演も含め、東京ミッション研究所にて、ゼア氏のいくつかの講演をまとめて出版する予定だという。