PHD運動提唱者で元神戸大学教授の故岩村昇氏の送別記念礼拝が16日、神戸YMCAチャペルで行われた。関係者らおよそ250人が出席、今年11月27日に昇天した同氏の死を悼んだ。財団法人PHD協会、財団法人YMCA、社団法人日本キリスト教海外医療協力会が共催。
岩村氏は、広島での被爆体験から医療の道に進み、1962年から18年間ネパールで無医地区の巡回医療に携わる。帰国後の81年に、アジア・南太平洋の若者を農業などで滞在研修させる財団法人「PHD協会」を設立。93年にはアジアのノーベル賞といわれる「マグサイサイ賞」を受賞した。財団法人PHD協会は来年で創立25周年の節目を迎える。
同氏が提唱したPHD運動は、「平和」と「健康」、それを築く「人づくり」の頭文字から名づけられた。アジア・太平洋の10の国や地域から研修生を日本へ招き、農業や畜産、保険衛生などの分野でトレーニングを行う。これまで短期、長期研修あわせて約170人の研修生が学んだ。帰国した研修生は、各地で新しい農業や村づくりの試みを行い、地域の発展に貢献している。
同会総主事代行の藤野達也氏は「同協会創始者である岩村先生を思うことで、活動の原点に再び立ち戻ることができた」という。全国からの思わぬ参加が相次ぎ、改めて岩村氏の活動範囲の広さを感じたという。岩村氏が携わることで始まった全国の様々な活動を紹介しながら、「先生のメッセージが、多くの人々の心に『何かを始めよう』とする力を与えたのでは」と同氏の魅力を語った。
岩村氏は2001年、PDH協会20周年を迎えて次のようなメッセージを残した。
「時代を先取りする人は、いつも少数派です。時代を追いかけていてはだめです。時代に抵抗する力、哲学を持たなければいけません。これが私の20周年を迎えての思いです。」