史上最悪の自然災害のひとつだったスマトラ沖地震・津波から1年が経とうとしている。国連認定の非政府団体(NGO)「セーブ・ザ・チルドレン」は7日、津波被災者への支援と復興プログラムに関する報告書で、昨年12月26日の災害発生後の生存者数百万人の生活再建の様子を伝えた。
報告によると、1年間にわたる緊急援助を通して、多医療専門家が2次災害として危惧していた災害後の疫病や深刻な栄養不良を回避することができた。被災初期には食糧や水、シェルターや医療ケアなどを25万人の子どもを含む62万人以上に提供する一方、家族からはぐれた子どもたちを虐待や搾取の危険から保護するための活動にも尽力した。
これまでの援助活動は、85年にわたる同団体の活動の歴史の中でも最大規模であるという。5年間の中期計画で2億6000万ドルを投じ、被災地の永続的復興をめざしている。被害の特に大きかったインドネシア、スリランカ、インドでの活動が集中したほか、タイ、ソマリア、モルディブでも援助の要請があり、チームを派遣した。
家族からはぐれた子どもたちは7千人にのぼるという。このため、他のNGOと協力して子どもたちを登録した。その結果、多くの子どもたちが家族と再会できたという。また教育施設や保護施設を設置して子どもたちの保護と精神的なケアを続けている。
現在、活動の主な焦点となっているのは、現地で長期的に活動することになる現地協力者との連携という。スリランカなどの地域では政情不安による影響があり、インドネシアでは現在も余震が続く。
朝日新聞(5日付)によると、被災国に対する日本政府の無償援助金の7割が未使用になっているという。最も未使用額が大きい国はインドネシアで、予算146億円のうち事業が契約されたのは23億円。アチェで続く内戦などが原因で活動がはかどらず、支援団体にも不安が広がっているためとみられる。地震・津波災害のための支援金はほぼ必要額に達したが、治安回復や労働力不足など「人間側の課題」が残り、皮肉な状況となっている。
今年はパキスタンや北米南部など世界中で大災害が発生し、現在も支援を必要としている。社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンに関する問い合わせは電話(03・3516・8926)か電子メール([email protected])(担当・葉山)で。