国連総会第3委員会(人権)は17日、欧州連合(EU)などが提出した北朝鮮による「組織的な人権侵害」を非難する決議案を、賛成票多数で採択した。決議は国連総会に送られ、正式採択はほぼ決定的とみられる。民間人権団体や人道支援を行う国際組織と連携して、北朝鮮に人権状況の改善を求める国際的な圧力をかけることができそうだ。
共同通信によると、決議はEU議長国の英国が中心になって策定し、計45か国が共同提案した。投票では中国、ロシア、イランなどが反対、韓国などが棄権した。
北朝鮮側は「政治目的で人権問題を乱用している」と強く反発。中国やスーダンなど11か国は、特定の国を名指ししたとして懸念を表明した。
北朝鮮の人権問題に関して、今週訪日したブッシュ米大統領は京都市内で行った演説で、関係国すべての包括的な外交努力が求められると強調していた。大統領は「われわれは北朝鮮国民のことを忘れない。いつか彼らは尊厳、自由、繁栄の下に生き、近隣諸国と平和に共存するだろう」と願いを語っていた。
メディアの報道によると、アジア4か国歴訪で韓国を訪問中のブッシュ大統領は17日、南東部の慶州で盧武鉉大統領と会談、北朝鮮核問題の平和解決や北朝鮮国民の人権状況の改善へ向けた協力、米韓同盟の強化などを盛り込んだ共同宣言に合意した。
国連人権委による北朝鮮非難決議では、北朝鮮が国連などによる人道支援事業を年内で打ち切る方針を示していることに関し、世界食糧計画(WFP)など国連機関の「総合的かつ自由で円滑な」活動を認めるよう求めている。
ジュネーブの国連人権委(53か国)は3年連続で北朝鮮非難決議を採択し、人権状況に関する特別報告者を昨年任命したが、北朝鮮は入国を拒否している。
同委は今後数日間にわたり、ミャンマー、イラン、スーダン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、コンゴ共和国などについても、人権侵害を非難するに関する決議案をめぐり、採決を行う予定。