ジャーナリストの人権保護を目指す国際組織「国境なき記者団」(本部パリ)は20日、2005年の世界の報道の自由状況に関する格付けを発表した。北朝鮮は昨年に続き最下位の167位となり、1位はデンマークやフィンランドなど欧州7か国だった。
北朝鮮(167位)、エリトリア(166)、トルクメニスタン(165)が下位グループだが、北朝鮮はエリトリアと10ポイント差をつけての最下位だった(1位は0.5ポイント)。同記者団はこれら3か国を「報道のブラックホール」と批判した。これらの国には独立した民間報道機関がなく、報道の自由が存在しない。
ジャーナリストと呼ばれる人々は政府からの発表を伝えるだけに留まり、政府の意向に合わない人物は厳しく罰せられる。一線を越えた言論は抹殺され、著者は上層部の権力によって処分される。人権侵害、心理的圧迫、脅迫と監視は日常茶飯事だという。
発表は、東・中央アジアのトルクメニスタン(165)、ミャンマー(163)、ウズベキスタン(155)、中国(159)、ベトナム(158)、ラオス(155)、中東のイラン(164)、イラク(157)などでは政府が言論を圧殺し、記者が最も危険な経験をする地域とした。
イラクの現状は悪化したと見られている。民主化に抵抗するイスラム過激派による自爆テロなどで記者の安全が保証されていない。同国では今年だけで既に24人の報道関係者が殺害された。2003年3月からの犠牲者数は72人に達し、報道界にとって戦後最悪の国となった。
一方、上位10か国は欧州だった。米国は昨年の22位から44位に転落。情報源秘匿を守ったニューヨーク・タイムズ紙記者の拘束を主要原因として挙げた。日本は37位(昨年42位)。アジアの最高位は韓国の34位だった。
北朝鮮、エチオピア、トルクメニスタンが下位グループで、発表は「これらの国には民間報道機関が存在せず、報道の自由は皆無。公共メディアの記者は国の宣伝をするだけ」と批判した。