日本キリスト教協議会(東京・新宿、以下、NCC)国際関係委員会らで構成される「Stop the Wall!!実行委員会」は9日、イスラエル政府が建設中の分離壁について、建設の即時中止と壁の解体を求める声明を作成、12日までに公式サイトで発表した。イスラエルとパレスチナが対等な立場で交渉し問題を解決できるよう、各国政府、諸国際機関に行動を要請している。
イスラエル政府がヨルダン川西岸に建設中の分離壁は、パレスチナからイスラエルへのテロリスト進入を防ぐためとされている。分離壁は、パレスチナ自治区をほぼ囲むように建設予定計画が立てられ、シャロン政権が03年7月に第一次建設予定計画の145kmの歓声を発表した。日本経済新聞によると、同政府は今月10日、分離壁の新たなルートを閣議決定し、イスラエル、パレスチナ双方が首都と位置づける聖地エルサレムを囲い込むことを決定した。新ルートはエルサレム郊外に住むパレスチナ人5万5000人を聖地から分断する形で設置され、自由に市内に入れなくする。パレスチナ側は激しく反発している。
壁は、全面コンクリートで高さ8メートル、全長730kmを予定している。壁の両側には軍事用道路を敷き、監視塔と高圧電流の流れるフェンスを設置する。
イスラエル側は分離壁を出入りするための検問所を複数設けるとしているものの、これまでエルサレム市内の学校や病院に通っていたパレスチナ住民にとっては利便性が格段に低下する。分離壁の建設はパレスチナ自治区の隔離を進める「アパルトヘイト・ウォール」であるとして、パレスチナ自治区以外に、国際社会からも非難の声が上がっている。
今回の声明は、04年7月の国際司法裁判所(ICJ)の勧告を受けてのもの。ICJは分離壁の建設について「パレスチナの財産の破壊または接収」「住民の生産活動、医療、教育、水などとのアクセスなどに深刻な影響を与える」ことから、国際人道法など国際法に違反するとの見解を発表、イスラエル政府に対し、分離壁の建設中止を求めた。
ICJによる審理をめぐって、イスラエルや米国は「ICJの介入は政治交渉の妨げになる」と指摘。日本や欧州も同様の理由でこの決議を棄権している。