オーストラリア・シドニーで4日、中国総領事館の元1等書記官、陳用林氏(37)が豪州への政治亡命を求めた、と日本など各国のメディアが報じている。
報道によると、シドニーで開かれた天安門事件16周年追悼集会に参加した陳氏は、シドニー在勤の4年間、領事館の政務担当として、気功集団「法輪功」をはじめとする反体制派中国人、チベット、台湾、ウイグル自治区の独立支援派を監視していたと明かした。
中国政府が豪国だけでもスパイ1000人以上を送り、反体制派組織に潜伏させて、中国人とその家族を拉致し、秘密裏に本国に強制送還しているという。
陳氏は家族と共に、先月末に総領事館から逃亡した。当初シドニー市内に隠れていたが、亡命の申請が24時間以内に豪当局に拒否され、総領事館に戻るよう促されたと証言している。さらに豪州当局が、総領事館に通報したため、現在はシドニーを出て他の地域に隠れているという。
在豪中国大使館は5日夜、「陳用林は、北京に戻るよりオーストラリアで生活したいだけで、全く無根拠ででたらめの物語をでっちあげているだけ」とのコメントを発表した。
一方、陳氏は、総領事館を離れた理由について、反体制派をひそかに支援していたことが中国当局に知られ、尾行をつけられたからだと述べた。また、「私は身の危険を感じている。この16年間、中国政府は政治改革のために何もしてこなかった。市民には政治的自由も人権もない」と訴えた。