日本キリスト教協議会(東京都新宿区)らが賛同する「『死刑を止めよう』宗教者ネットワーク」は26日、カトリック神戸中央教会(兵庫県中央区)で死刑廃止をテーマにセミナーを開催した。160人が参加。朝日新聞(28日付)が報じた。講師は、死刑囚の青年と修道女の交流を描いた米国映画「デッドマン・ウォーキング」の原作者、シスター・ヘレン・プレジャンさん(メダイユ聖ヨゼフ修道女会)と、ニューヨーク在住の日本人写真家トシ・カザマさん。
プレジャンさんは、「いのちを見つめて」というテーマで基調講演した。ルイジアナ刑務所に服役していた死刑囚との文通や死刑執行の立ち会いを経験し、死刑制度に疑問を持っていたという。プレジャンさんは死刑囚による被害者の遺族に会ったことがあり、「死刑に反対することは辛い闘い。しかし遺族が必要としているのは、心のケアや生活支援。死刑が遺族の救済になるとは限らない」と語った。
「少年死刑囚を撮り続けて」というテーマのスライドショーを行なったカザマさんは、9年前から全米の刑務所で少年死刑囚20人を撮影してきた。自身も1年半前、通り魔に遭い、5日間意識不明となった「犯罪被害者」でもある。「家族や友達を憎しみと怒りの連鎖に巻き込みたくない」との考えから、友人たちの「犯人を殺してやりたい」という思いをいさめた。また、事件現場を訪ね、被害者遺族もカメラに収めている。一家全員を殺されたベトナム人の少女が1年間の混乱を経て、「憎しみを乗り越えるには愛しかない」と語ったことに胸を打たれたという。
プレジャンさんは「死刑制度の下で、どんな風に囚人が殺されるのかを知り、一人ひとりが深く考えてほしい」と訴えた。
「死刑を止めよう」宗教者ネットワークは、死刑制度の廃止を訴え、命について考える機会を設けようと2003年に設立された。