イスラエルのエルサレム市内で今年8月に開催が予定されていた同性愛者の国際祭典「エルサレム・ワールド・プライド・フェスティバル2005」を中止し、開催を06年まで延期すると主催団体が発表していたことが、17日、わかった。主催者側は「ガザ地区からのユダヤ人入植地撤退の時期と重なることが延期の理由」としている。
同国の同性愛擁護団体、エルサレム・オープン・ハウスは米ニューヨークタイムス紙の取材に対し「国内が緊張状態にある中で祭典を開催したくなかった」と述べた。
祭典の開催をめぐって、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の指導者たちが今年4月に連盟を結成し、イスラエル政府に祭典の開催阻止を要求する声明を発表していた。連盟は各宗教の指導者12人で構成される。
ヨルダンに本拠を置くアラブ通信社、アル・バワバがテルアビブ市議会議員で「ホモ・レズビアン協会」会員のイタイ・ピンカス氏の話として伝えたところによると、「私たちはイスラエルの国民として、入植地撤退の時期が祭典の開催予定日と重なることは避けるべきと判断した」という。
ユダヤ人入植地の撤退は当初7月に予定されていたが、8月までの延期が今月決定した。
ニューヨークタイムス紙によれば、主催者側は、宗教者たちによる反対運動が中止の理由ではない、と断言した。
同祭典開催を阻止する目的で設立された宗教者連盟は共同声明の中で、「(エルサレムでの祭典開催は)宗教的価値観の基盤および聖なる都市の性質を汚す」と主張していた。
祭典を支援する複数団体は公式ウェブサイト上で、祭典を通じて「先入観と現実を対比させて、偏見を理解への糸口としたい。そのために世界の注目を集めたかった」と語った。
ニューヨークタイムス紙によれば、今回中止が決まった同祭典は06年8月ごろエルサレムで開催される予定。また地元の同性愛擁護団体が主催する集会が今月末に予定されている。
前回のワールド・プライドは2000年にローマで開催された。