各国政府、企業、著名人が参画する「マラリア撲滅イニシアチブ」が実施する防虫処理済みの蚊帳やマラリア治療薬の配布で、アフリカ大陸でのマラリア対策が前例にみられないほど大幅に進展した、と国連児童基金(ユニセフ)が22日発表した。
ユニセフは「1年で5歳以下の子供約100万人の命を奪い、生き延びた子供たちも脳障害や麻痺といった後遺症が残る感染症」と説明した上で「蚊に刺されることを回避すれば感染を防ぐことができ、有効な治療法も存在する」と発表。25日の「マラリアの日」を控え、マラリア対策に手ごたえ感を示した。
同イニシアチブは強力な防虫処理を施した蚊帳の新しい製造技術が導入され、製造を長期的に継続できるようになった。蚊帳の生産は2004年に始まり、2005年内に700万個を配布する。
トーゴでは、5歳以下の子供がいる家庭の98%に最低ひとつの蚊帳が配布される条例が昨年12月発効となり、配布率は62%(4月現在)に達した。
ユニセフによると、いくつかの国ではイニシアチブの支援で地元の人々が農業プロジェクトを立ち上げ、マラリア治療薬(アテミシニン基盤の混合薬)の製造に必要な作物の生産が始まった。このプロジェクトによって、現生産量に加え3500万錠のマラリア治療薬の生産が可能となる。
中国、欧州各国、米国の製薬会社が治療薬の生産量を増やし、アフリカへの輸入量が増加していることもマラリア撲滅に貢献している。
ユニセフは「各国で『マラリアの日』を覚え祝ってほしい」としている。米ワシントン、ザンビア、ベルギー・ブリュッセルでは大規模な集会が開催される予定。