インターネットを利用して集団自殺を図る事件が相次ぐ中、警視庁がプロバイダー(接続業者)に対しネット上の自殺予告などがあったとき契約者情報を照会する態勢が今年夏にも構築されると21日、朝日新聞が報じた。
この提言は情報通信犯罪、問題に対処する警視庁の「総合セキュリティ対策会議」から出されたもので、この中で同会議は人命保護への協力を訴え、業界はこれに応じた。
同会議の報告書では「自殺予告」、「集団自殺の呼びかけ」、「殺害予告」の書き込みについてそれぞれ切迫した日時、場所、手段が書かれている場合、人命保護のためにネット掲示板の管理者などの事業者は警察の照会文書を判断した上で警察の求める氏名、住所などの個人情報を提供する必要があるとしている。
警視庁によると、インターネットの自殺サイトを通して知り合った人たちの集団自殺の件数と死者が昨年では年間19件55人だが、今年は3月末までに20件54人に上り急増した。
これまでは警察が情報提供を求めても掲示板の書き込みなどでは令状の取れない状況で、業者からの捜査協力が得られにくかったという。今回の取り決めにより、どのような事態に個人情報を提示するべきかなど自殺志願者特定の手続きが明確化され、業者と警察の間で人命保護のための連携が深まったとみられる。