子供たちの間でインターネット、携帯電話を通じてのいじめや犯罪が横行している。大人がその現実に気づき、ネット社会のモラル改善に取り組まねばならないと主張している教育評論家の尾木直樹氏へのインタビューを15日、毎日新聞が報じた。
尾木氏によるとインターネット社会のエチケットである「ネチケット教育」だけでは、すでにインターネットの危険性から子供を守ることはできなくなっているという。今までいじめられる子の安息のときであった夜や休みの日に悪質なメールが匿名で送られ、親、教師、社会に知られることなくいじめが起こっている。これはいじめられる子にとっては本当につらいものであるという。
教師に見えないのがいじめの本質であるが、ネット利用によりそれがもっと見えなくなってきた。東京都内のある中学校では特定の子の悪口を書き込む掲示板が、教師の知らぬ間に2つも開設されていた。教師はクラスの雰囲気がおかしいことには気づいてもその原因はわからなかったという。
このような現実を踏まえ、尾木氏は子供より親がネットについて知るべきだと言う。特に小学生にはインターネットにアクセスさせないようにし、親のいるところでさせるべきである、と。なぜなら簡単に犯罪や問題行為を犯せてしまうネット上で子供には社会的責任を負えないからだ。
子供に野放図にインターネットを使わせると子供の発達を阻害し、教育効果も吹き飛ぶ。そのような認識が親にあるべきである。尾木氏は「子供がどのようにインターネットを使っているか」や「どんなに子供がつらいおもいをしているか」を明らかにするアンケートをするべきだと話した。
◇尾木直樹
教育評論家、臨床教育研究所「虹」所長、法政大学キャリアデザイン学部教授、早稲田大学大学院教育学研究科客員教授、日本教師教育学会常任理事 、日本精神保健社会学会理事
1947年滋賀県生まれ。現在は東京都武蔵野市在住。早稲田大学卒業後、海城高校、東京都公立中学校教師、東京大学講師として、22年間ユニークで創造的な教育実践を展開。その成果は130冊を超える著作物やビデオソフト、映画等にまとめられている。