イラク国民議会選挙で、不正投票や投票の妨害があったとの報道が相次いでいる。開票作業を担当する独立選挙委員会によると、北部モスルで有権者の1万5188人が投票できなかった。テロは襲撃による治安の悪化や投票箱の盗難等が原因という。投票時の不正が疑われた6日、キリスト教徒や少数派トルクメン人らは再投票を求めて抗議行動を行い、公正であるべき選挙で少数派が不当に選挙権を奪われたと訴えた。AP通信が報じた。
一部の報道によれば、選挙管理委はモスルの約50万人が住む地域などで治安上の懸念から投票所を開設できなかったり、投票用紙が不足したりする事態が起きた。投票後、投票所が襲撃され投票箱が奪われたとの報告もある。被害を受けたのはキリスト教住民が多い地区が中心で、抗議団体は20万人が投票できなかったと主張している。
不正投票ではクルド人による事例が伝えられている。既に死亡した親族の名義で投票したり、1人で複数回投票、偽造投票用紙による投票が発覚した。クルド人の立会人や選挙管理委関係者の黙認の下、行われたという。また、クルド人警備員が、対立関係にあるトルクメン人立会人を銃で脅して追い出し、開票作業を独占。トルクメン人が多い人口40万人の町で投票所が2カ所しか設置されなかった。別の州では投票の際、鉛筆での記入を強いられたという。改ざん目的とみられている。
選挙管理委は当初、最終結果は10日までに公表するとしていたが、これら不正行為が発覚したため、無効票を除いて再集計作業を行う。数百箱、数千箱規模の投票分が無効と判定されている。再集計作業が終わる時期は不明。