『外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会』(外キ協、東京・新宿)が先月27日、参議院議員会館(東京・千代田)で院内集会を開催し国会に「外国人住民基本法の制定を求める請願書:2004」を提出したことが1日、分かった。同協議会は先月29日、在日本韓国YMCA(東京・千代田)で全国協議会を開催。同日、「2005年 第19回 外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト者1・29集会宣言」を採択し、1日午後、本紙などキリスト教報道各社に送付した。
同宣言の内容は以下。
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<2005年 第19回 外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト者1・29集会宣言>
外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会(外キ協)は、1月27日に参議院議員会館で院内集会を開催し、「外国人が暮らしやすい社会は日本人も暮らしやすい」を合い言葉に1年間にわたって全国で集めた「外国人住民基本法の制定を求める請願書:2004」を国会に提出した。
引き続き29日まで東京の在日本韓国YMCAにおいて、韓国基督教教会協議会、各地外キ連および外キ協加盟各教派・団体代表者の参加のもと、第19回全国協議会を開催した。そして今日、カトリック目黒教会を会場に「共に食べよう、歌おう、踊ろう、そして祈ろう」との呼びかけのもとに、全国キリスト者集会を開催した。
今年は日本の敗戦60周年であり、また日韓条約締結40周年の大きな節目の年である。敗戦50周年前後には日本のキリスト者はさまざまな形で戦争責任を告白し、その償いのために努力を重ねてきた。しかし、この数年間の日本社会の変化を振り返ると、この努力が水泡に帰しかねない状況にある。
戦後60年を迎えた今も、日朝国交正常化はなされていない。日本人拉致問題をめぐって交渉は膠着する中で新たな排外主義が台頭している。いま必要なことは、粘り強く交渉を続け、日本の歴史責任を清算し、日本人拉致問題を解決する道筋をつけることではないだろうか。
また、教育基本法の改悪、憲法改悪の動きが加速されている。東京都は、自らの良心に従って「君が代を歌わない、伴奏しない」教師を処分したり、埼玉県は「新しい歴史教科書を作る会」のメンバーを教育委員に任命した。教育現場から思想・信条の自由が奪われ、「お国のために死ねる」という偏狭なナショナリストを育てようとする企てが着々と進行している。
いま日本には、植民地支配に起因する在日韓国・朝鮮人をはじめ、200万人以上の外国人が生活している。しかし最高裁大法廷は、1月26日、東京都の保健師として働く在日二世の鄭香均(チョン・ヒャンギュン)さんの管理職試験の受験資格の確認を求める訴えを退けた。この最高裁判決は、在日韓国・朝鮮人の歴史と、多国籍・多民族化しつつある社会の現実を無視し、国際人権法を否定するものである。
そして法務省は、「不法滞在者を半減する」として、ホームページに密告窓口のサイトを設けた。また、首都圏を中心にオーバーステイの外国人の「摘発」、さらに難民申請者の強制退去を繰り返している。そこには、経済のグローバル化が必然的に人間のグローバル化を生み出すという現実に対応できない自民族中心主義がその根幹にある。
2004年10月8日、日本弁護士連合会の人権擁護大会で「外国人・民族的少数者の人権基本法の制定を求める宣言」が決議された。また、住民投票において外国籍住民に投票権を認める「住民投票条例」を定めた自治体が、すでに175に上った。私たちの「外国人住民基本法」の制定を求める運動は今後、弁護士や研究者、市民団体、自治体関係者などとの「共同の取り組み」として展開されることになる。
きょうの集会では、さまざまな国籍とさまざまな民族の人びとが出会い、また証言を共に聞いて、祈りを共にした。私たちは、同じ地域社会に暮らす人びとが、国籍や民族の違いにかかわりなく、お互いの文化や生き方を認め合うことの重要さを強く実感した。そして私たちは、「外国人住民基本法」の制定を求める活動をさらに強め、かつ広げていくことを確認した。この運動は、神の被造物である人間はすべて神の働きのためにこの世に遣わされたものであり、その働き手の尊厳を守るという信仰に基づく証であると確信する。
主よ、この集会に国籍、民族、文化の異なる人びとを多数集め、お互いの声を聞き、交わり、祈りを共にする恵みをくださったことを感謝します。どうかこの集まりを機に、私たちの働きに知恵と勇気をお与えください。
<政府および関係諸機関への要求項目>
1.政府および国会は、外国人住民の包括的な人権保障のため「外国人住民基本法」を制定すること。
2.国際人権条約に基づく「人種差別禁止法」を制定し、政府行政機関から独立した「人権委員会」を創設すること。
3.在日韓国・朝鮮人など旧植民地出身者とその子孫に対して、日本の歴史責任を明記し、民族的マイノリティとしての地位と権利を保障する「在日基本法」を制定すること。
4.2003年7月に国際人権条約として発効した「すべての移住労働者とその家族の権利保護条約」をすみやかに批准すること。未登録移住労働者の合法化と難民申請者の在留資格付与を積極的に推進し、外国人研修制度を廃止するなど、出入国管理及び難民認定法の抜本的改正を行うこと。
5.地方自治体は、在留資格の有無や違いにかかわらず、外国人住民の生活権を保障すると共に、外国人住民の住民自治・地方自治参画を積極的に推進すること。
6.地方自治体は、人種差別禁止条例を制定すると共に、多民族・多文化教育指針を作成し実施すること。
7.国会は、「戦時性的強制被害者問題解決促進法」「恒久平和調査局設置法」をすみやかに制定すること。
8.政府は、日朝国交正常化交渉をただちに再開し、歴史の真の清算と和解に導く日朝条約を締結すること。
<私たちの取り組み>
1.「外国人住民基本法」制定運動を強化する。
2.日本の歴史教科書の歪曲を許さず、日・韓・在日教会がその出会いと学びをさらに深めるよう歴史学習への取り組みを強化する。
3.第11回外登法問題国際シンポジウムを開催する。
4.「在日・日・韓キリスト青年共同研修プログラム」を積極的に支援する。
2005年1月29日
第19回外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト者集会 参加者一同
外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会
外登法問題と取り組む関西キリスト教代表者会議
外国人登録法問題と取り組む北海道キリスト教連絡協議会
外登法の抜本的改正を求める関東キリスト者連絡会
外登法の抜本的改正を求める神奈川キリスト者連絡会
外登法問題と取り組む中部キリスト教連絡協議会
外登法問題ととりくむ関西キリスト教連絡協議会
外登法問題ととりくむ京滋キリスト教連絡協議会
外国人登録法問題と取り組む広島キリスト者連絡協議会
外登法の抜本的改正を求める九州・山口キリスト者連絡協議会
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