国際移住労働者デーだった今月18日に合わせて、人権団体アムネスティ・インターナショナルは同日、基本的人権を確保できない移住労働者は世界に数百万の規模で存在するとして憂慮の念を示す声明を発表した。
今年は特に、規定の書類を持たない移住労働者の立場がより脆弱なものとなり、問題の深刻度を増していると指摘。中でも、100万人以上いるとされる不法労働者を一斉摘発し国外退去させる計画を発表したマレーシア政府を批判した。
大規模な国外退去の動きは、ヨーロッパでも起こっている。今年10月には、イタリアの小島ラムペドゥサから、アフリカ系・中東系不法滞在者数百人をリビアへ国外退去させたが、アムネスティはこれを「人権をまったく無視したイタリア政府の移民政策の強行姿勢は問題」とした。
アムネスティは「すべての移住労働者とその家族の権利の保護に関する国際条約(移住労働者条約)」をすべての国家が批准するよう訴える必要があると指摘した。アムネスティによると、2003年7月に施行されたこの条約は、すべての移住労働者が、その移民資格に関らず、一定の基本的権利を享受することを保障しており、拷問を受けない自由、法や労働条件での平等、緊急な医療措置を受ける権利などが保護されているという。この日の声明によると、現在27カ国がこの条約を批准している。