ユニセフ国連児童基金は9日、ロンドンで2005年版の世界子供白書を発表した。白書は世界の子供の2人に1人が戦争や貧困、エイズの脅威で基本的権利が脅かされていると指摘した。
子供白書は、世界の子供およそ22億人のうち、およそ19億人が開発途上国などに居住していると分析。このうち?3人に1人は家にトイレがない、?5人に1人は安全な水が手に入らない、?7人に1人は医療を受ける機会がない---など貧困の実態を説明した。また、子供の発育に大きな影響を与える「教育」「栄養」「住居」「衛生」「安全な水」「ラジオ、新聞などの情報源」「医療」のいずれかが極端に欠乏している子供は10億人を越えるとしている。
また、1990年以降の戦争や内戦で死亡したとされる360万人の半数近くは子供で、大勢の子供が依然、兵士になるのを強制されたり、戦争に伴う性的暴行の犠牲になっているとした。
このほかエイズで両親を失った孤児は03年末で1500万人に拡大し、発病した家族の世話をするために教育に関われず労働を強いられている子供が増加していると報告した。
ベラミー事務局長は発表に際して「子供の生活を守れなければ、人権や経済開発の大きな目標も達成できない」と述べ、子供たちにもっと目を向けるよう訴えると共に各国政府の無策を批判するなど対応を強く求めた。
報告書はユニセフ本部のウェブサイトでダウンロードが可能(英文)。
http://www.unicef.org/sowc05/english/fullreport.html