イラク日本人殺害事件で、「人間の盾」として戦争反対を訴えた福岡国際キリスト教会(福岡市、日本バプ連盟)の木村公一牧師が31日、イラク日本人殺害事件で犠牲となった香田証生さん(24)の福岡県直方市の実家を訪れ、両親らに面会した。
真澄さん夫妻は、ともにキリスト教徒。息子は、異教徒のテロリストに殺された疑いが強い。木村牧師は面会で「1粒の麦は、地に落ちて死ななければ、1粒のままである。だが、死ねば多くの実を結ぶ」と聖書のみことばを引き、「息子さんは1粒の麦になったんですね」と問い掛けると、泣き腫らした目をしていた母親の節子さん(50)は張りのある声で「先生、その通りなんです」と答えたという。
木村牧師はこの日、同県飯塚市内で講演会の予定があり、証生さんの拘束後、一家を励まそうと事前に連絡。偶然に遺体発見日に訪問が重なってしまったという。
面会では木村牧師が、証生さんの死について「今後の私たちの生き方が問われているのではないか」と尋ねると、父親の真澄さん(54)は「死を無駄にしない。そういう生き方を選んでいきたい」と応じた。(共同)
単なる旅行者までも、日本人だという理由だけで命を奪った武装グループに対する怒りの声が高まっている。無事の解放を訴えてきた家族は、悲しみに打ちのめされながらも、周囲への感謝やイラクの平和に思いを寄せるコメントを出した。
証生さんと建築技術の専門学校時代から友人の、上野幹恭さん(30)は怒る。「今どきの若者には珍しいくらい礼儀正しく、仕事もまじめだった。彼がただの旅行者だということを、テロリストは分かっていない」