憲法改正に向けた動きが強まっていることを受け、作家の大江健三郎氏、哲学者の鶴見俊輔氏ら文化人9人による「九条の会」が6月10日に発足した。この記念講演会が7月24日、東京のホテルオークラで開催される。
講演会に先立ち、15日には東京大の小森陽一教授ら事務局担当員らが東京都千代田区の衆議院第一議員会館で記者発表を行い、講演会の概要や今後の活動について説明した。
同会は6月10日、会見で「平和な未来のため、戦争放棄を規定した憲法九条を守ろう」とするアピールを発表した。アピールでは、改憲や教育基本法改正を求める動きについて「武力によらない紛争解決をめざす国の在り方を根本的に転換し、軍事優先の国家へ向かう道を歩むもの」と批判。「アメリカのイラク攻撃と占領の泥沼状態は、紛争の武力による解決がいかに非現実的であるかを、日々明らかにした」として、憲法九条の重要性を訴えている。奥平康弘東大名誉教授は会見で「最近は『九条』という事実がぼかされている。九条の意味を明確にしていきたい」と語った。
この「『九条の会』アピール」に同意する人は、地域や生活の中で「九条の会・○○○」を名乗り、自発的に運動を起こすかたちで活動に参加できる。各自組織づくりを進め、草の根的で幅広い運動を粘り強く続けていくことが狙いで、従来型の上意下達的な運動ではない。「九条の会」アピールの賛同者には日本キリスト教協議会(NCC)の山本俊正総幹事や日本基督教団の山北宣久総会議長も名を連ねている。