医学、生物学、社会、経済、教育、心理、倫理及び法律のさまざまな分野からエイズに関係する世界各国の人々が一同に会してエイズに関する最新情報を交換し、国際的にエイズへの取り組みを進めるための基盤を作る場として隔年開催されている「国際エイズ会議」が11日から、バンコクで開催されている。
今年の国際エイズ学会はコミュニティと科学の架け橋とされており、協力意思・積極性・アカウンタビリティ(説明責任の実行)を強化することを通じて、HIV/AIDSに対する世界の対応を活性化することを目ざしている。科学技術の発展や教育プログラムや地域での活動が全世界的な働きと密接につながっているかを再確認し、新たな可能性を探る。また、世界政治の最高レベルにおいて、テロ・戦争・経済の悪化等により、関心がエイズ問題から離れつつある一方で、各国の指導者が進捗状況を報告し、積極的に議論に参加するよう求める。これまでになされた様々な公約にもかかわらず、世界各地で、特に貧しく弱い立場にある人口集団での流行拡大が続いているという現状もあり、関係者が目標達成度や進展度について説明し、教訓を分かち合いつつ、現実に行動を起こすように導く。
共同通信などによると、11日の「第2回アジア太平洋閣僚会議」にはアジア太平洋地区36か国の保健大臣らが参加。アジアのエイズ感染者が2010年に世界の感染者の40%に達するとの見通しから、「世界エイズ対策基金」への拠出や対策強化で一致し、これらを盛り込んだ共同声明を採択した。この基金は、エイズ、結核、マラリアの3大感染症対策のため、アナン国連事務総長の提唱で、2年前に設立された。毎年70億ドルの資金が必要とされており、日本は約2億6000万ドルを拠出しているが、経済規模の割に少ないと指摘されているとのこと。
12、13日の会議では、HIV感染で2015年には世界で年間400万人の労働力が失われるとの報告があり、世界50か国の労働世代(15〜64歳)における感染者数は現在約3650万人とされた。「世界の孤児の現状に関する報告書」では、エイズで親を失った子どもは過去2年間で350万人増え、昨年末までに1500万人に達したとしている。同報告書によると、世界の孤児の総数は約1億4300万人で、全世界の子どものうち孤児が占める割合は8.4%だった。アフリカのエイズによる孤児は10年には1840万人、同地域の孤児の約37%を占めると予想されるという。
開会式を前に、世界各地からキリスト教信仰を持つ参加者が集まって賛美の時間を過ごした。キリスト教関連団体の代表らは賛美歌を歌いながら入場し、開会式に臨んだ。代表らはコメントし、エイズが人類の生命を奪おうとする中、キリスト教団体はエイズ治療と防止、エイズ患者への支援を積極的に行い、新しい命に対する信仰を失うことなくエイズ問題に取り組んでいきたいと述べた。(クリスチャンポスト)