今月24日の外キ協(外国人登録法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会)主催のシンポで、同協議会は共同宣言を発表した。
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〜第18回外登法の抜本的改正を求める全国キリスト者1・24集会宣言〜
私たちは、外登法の抜本的改正を求める第18回全国キリスト者集会を、さまざまな国籍、民族の兄弟姉妹たちと共に開催できたことを、神に深く感謝する。神がこの私たちの取り組みを祝福してくださり、今後とも各教派・団体、各教会の中で「宣教の課題」として担われていくことを願い、また祈りつつ、以下のことを表明する。
外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会(外キ協)は、1月22日から大阪の在日韓国基督教会館(KCC)において、韓国基督教教会協議会、各地外キ連および外キ協加盟各教派・団体の代表の参加のもと、第18回全国協議会を開催した。そして今日、カトリック大阪カテドラル聖マリア大聖堂において、「外国人が暮らしやすい社会は、日本人にも暮らしやすい」というテーマで、全国キリスト者集会を開催した。
2002年9月17日の小泉首相の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)訪問から1年以上が過ぎた。しかし9・17以降、日本では歴史責任を棚上げにして、日本人拉致問題と北朝鮮の核兵器問題だけが取り上げられ、「北朝鮮バッシング」が続いている。戦後補償への国家的取り組みも等閑にされされたままであり、自民族中心主義・排外主義による国家主義が公然と台頭している。今年1月1日、小泉首相は靖国神社に公式参拝した。そして、自衛隊の「戦時海外派兵」までもが開始されてしまった。
さらに「北朝鮮バッシング」は、最悪にも子どもを標的にし、在日韓国人・朝鮮人、とくに朝鮮学校に通う児童・生徒たちへの嫌がらせ・暴行が今なお続いている。そして、政治家たちによる暴言が繰り返されている。昨年5月の麻生暴言、7月の江藤暴言に続いて、10月には石原慎太郎・東京知事が「(日本の韓国併合は)武力で侵犯したんじゃない」「どちらかといえば彼らの先祖の責任」「植民地主義といっても、最も進んでいて、人間的だった」などと述べ、11月には松沢成文・神奈川県知事が「外国人はみんなコソ泥だ」と放言した。さらに10月17日、法務省入国管理局、東京入国管理局、東京都、警視庁の4者は「首都東京における不法滞在外国人対策の強化に関する共同宣言」を発表し、超過滞在の移住労働者の摘発と収容、強制送還に乗り出した。
歴史を振り返る時、戦争に向けて軍隊を準備する時代には、外国人を敵視し排訴しようとする風潮がつくられる。「国益」が叫ばれ、「日本人かどうか」という差別化によって価値がはかられ、”戦争の大義”が形成されていく。外国人を排訴しようとする時代は、戦争へと人びとを動員する時代なのである。
文部科学省は昨年9月、外国人学校卒業生の大学入学資格にかんする省令を改定した。そこでは、インターナショナルスクールや韓国学校、ドイツ人学校などは大学入学資格を認めるが、朝鮮学校だけでは学校ごとの認定ではなく、各大学の個別審査に委ねた。これは恣意的な差別政策である。さらに朝鮮学校やブラジル人学校、ペルー人学校などに対しては、国庫金による教育費補助も、寄付金控除もなされていない。こうした現状は、教育の機会均等を謳った「日本国憲法」および「教育基本法」、そして日本が加入している「国際人権規約」「子どもの権利条約」に明らかに反する違反するものである。私たちが「外国人住民基本法(案)」で掲げたように、外国籍のこどもたちには、教育を受ける権利、とりわけ人族教育を受ける権利が保証されなければならない。
一方、外国籍住民に「住民投票権」を認める地方自治体は、すでに82に上がった。在日韓国・朝鮮人をはじめ、移住労働者とその家族、国際結婚で日本に住むようになった外国人など外国籍住民すべてが、地方自治法第10条が定める「住民」であることを確認し、住民自治・地方自治の担い手としてその参加の道を認めることが必要である。
昨年7月、「移住労働者とその家族の権利保護条約」が国際人権条約として発効した。これは、移住労働者の権利を包括的に保障するものであり、市場経済至上主義の支配する時代の中にあって、移住労働者受入れ国である日本は批准を急がなければならない。
私たちは、この世界において和解と平安を阻み、一人ひとりの生に脅かす過酷な現実に絶望することなく、困難に屈せず、忍耐強く「平和と正義」を実現するために、共に歩み続けることを決意する。
暴力と憎しみ、対立と報復が連鎖し続ける今日、私たちが立ち帰らなければならないのは「和解と共生」の福音である。これは、歴史を直視し、他者と生きようとする祈り、意志、努力によって実現するのである。キリストによって、天と地、人と人との和解と共生を打ち立てられた平和の神が私たちの運動を豊かに用いてくださるようにと願いながら、主のみこころを信じ、今年も共に歩んでいこう。
<政府および関係諸機関への要求項目>
1.政府および国会は、外国人住民の包括的な人権保障のため「外国人住民基本法」を制定すること。
2.国際人権条約に基づく「人種差別禁止法」を制定し、政府行政機関から独立した「人権委員会」を創設すること。
3.在日韓国・朝鮮人など旧植民地出身者とその子孫に対して、日本の歴史責任を明記し、民族的マイノリティとしての地位と権利を保障する「在日基本法」を制定すること。
4.昨年7月に国際人権条約として発効した「すべての移住労働者とその家族の権利保護条約」をすみやか に批准すること。未登録移住労働者の合法化と難民申請者の在留資格付与を積極的に推進し、外国人研修制度を廃止するなど、出入国管理及び難民認定法の抜本的改正を行なうこと。
5.地方自治体は、在留資格の有無や違いにかかわらず、外国人住民の生活権を保障すると共に、外国人住民の住民自治・地方自治参画を積極的に推進すること。
6.人種差別禁止条例を制定すると共に、他民族・多文化教育指針を作成し実施すること。
7.国会は、「戦時性的強制被害者問題解決促進法案」「恒久平和調査局設置法案」をすみやかに制定すること。
8.政府は日朝国交正常化交渉を直ちに再開し、日本人拉致被害者とその家族の自由往来が実現するよう努力を傾けること。そして、歴史の真の清算と和解に導く日朝条約を締結すること。
<私たちの取り組み>
1.「外国人住民基本法」制定運動を強化する。
1)ビデオとリーフレット、ブックレットを活用して、各地、各教会で署名運動とキャンペーンを展開する。
2)「基本法」実現に向けて、外国人住民などマイノリティの人権獲得に取り組む市民団体、人権団体と共同プログラム・共同行動を推進する。
2.日本の歴史教科書の歪曲を許さず、日・韓・在日教会がその出会いと学びをさらに深めるよう歴史学習への取り組みを強化する。
3.韓国教会の「在日同胞苦難の現場訪問プログラム」を継続し、日本・在日教会の「歴史現場訪問プログラム」を開始する。
4.「在日・日・韓キリスト青年共同研修プログラム」を積極的に支援する。
2004年1月24日
第18回外登法の抜本的改正を求める全国キリスト者1・24集会参加者一同
外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会
外登法問題と取り組む関西キリスト教代表者会議
外国人登録法問題と取り組む北海道キリスト教連絡協議会
外登法の抜本的改正を求める関東キリスト者連絡会
外登法の抜本的改正を求める神奈川キリスト者連絡会
外登法問題に取り組む中部キリスト教連絡協議会
外登法問題にとりくむ関西キリスト教連絡協議会
外登法問題にとりくむ京滋キリスト教連絡協議会
外国人登録法問題と取り組む広島キリスト者連絡協議会
外登法の抜本的改正を求める九州・山口キリスト者連絡協議会