〜罪とがめぬキリストの愛で犯罪者の再犯防止に取り組む〜
長崎の男児誘拐殺人事件、東京・渋谷の女児監禁事件、弘前の金融機関放火事件、名古屋の運輸会社事務所放火事件、沖縄の中学生殺人・死体埋匿事件など目を覆いたくなるような事件が多発している。法務省発表「犯罪白書」によると、刑法犯件数は過去10年で100万件以上増加、2002年には285万件を超え、犯罪被害者は240万人を越えた。一方、検挙率は2001年には19.8%まで低下。核家族化などの人間関係の希薄化や長引く経済不況、社会道徳の退廃などにより、かつて治安大国と呼ばれた日本が、一般市民が犯罪に巻き込まれる危険を身近に感じる国になってきた。被害を受けても、事件後の手当てが不十分なために日常生活への復帰ができずに苦しむ人たちがいる。
03年8月、増加する犯罪被害者などの社会的弱者の人権擁護と犯罪経験者の再犯防止活動を行う団体として、PFIジャパン(PRISON FELLOWSHIP INTERNATIONAL JAPAN)が発足した。母体は国連NGO団体として世界105カ国でキリスト教の教理に基づいて犯罪被害者とその家族の支援、受刑者・出所者の再犯防止活動を行う世界最大のクリスチャン組織PFIだ(代表ロン・ニッケル、本部ワシントンD.C.)。PFIは、ニクソン米国大統領の「ウォーターゲート事件」に連座して服役した同政権主席補佐官チャールズ・コルソン氏が、獄中生活を通してクリスチャンとして新生した経験を基に刑務所伝道及び犯罪経験者の社会復帰を目的として1976年に設立した組織である。
◆律法を超える愛の力◆
PFIジャパンは日本において、外国に比べ20年以上遅れているといわれる犯罪被害者支援と共に、犯罪経験者の再犯防止活動に力を入れる。同理事長山田亘氏(信州日報社主)は「日本の再犯率の高さ(70%以上)に着目すると再犯防止活動が最も効果的な犯罪防止策である。1人の加害者を生まなければ複数の被害者は生まれない」と、加害者へのケアの重要性を主張する。
日本は1度罪を犯した人を共同体から排除する雰囲気がある。その結果、犯罪経験者が再び犯罪に走る状況に追い込まれる場合がある。キリストは「もし兄弟が罪を犯したら、戒めなさい。そして悔い改めれば、赦してやりなさい」と教えた。ロン・ニッケル氏は「神はPFIを通して犯罪経験者に更生のための救いの手を差し伸べておられる」と考えている。
犯罪経験者の再犯の大きな要因の1つとして、彼らが手に職を持たないことで経済的自立できない点が挙げられる。PFIジャパンは現在、犯罪経験者のための滞在型社会復帰施設を全国各地に設営する計画を進めている。そこで犯罪経験者に市場のニーズに合った技能習得訓練を実施する予定だ。また、炊き出しや毛布提供などの路上生活者支援を実施し、交流を深めながら彼らに立ち上がる希望と支援を提供できればと願っている。
PFIジャパンは現在、全国各地でPFIの活動を主導する賛同者を募っている。詳細はPFIジャパン事務局(住所:東京都中央区銀座7―14−7共栄銀座7丁目ビル8階、電話:03−3544−0789)まで。