2003年12月8日05時12分
比、死刑制度再開へ 教会らの反対押し切り
【フィリピン】 5日にアロヨ大統領が死刑執行を復活させる意思を表明したことを受け、ロムロ官房長官は執行の対象となる犯罪など具体案を一部明らかにした。国内のキリスト教会や人権団体などからの批判をおき、国内で多発している誘拐事件の即時的抑制を狙った選択肢だ。死刑執行は有罪が確定した誘拐犯に限定。すでに死刑判決を受けている囚人の死刑執行は延期される方針。
同大統領は、国内のキリスト教会や人権団体からの批判を受けながら今回の判断に至った理由として、全国で頻発する凶悪犯罪の被害者を無視できないとし、平穏な生活を営む権利の実現に最大限努力する義務があるなどと説明した。また、これまで大統領が個人的に死刑実施に反対する立場を示していたことについて、今は社会治安の基本的水準までもが脅かされているときだとした。
最近、国内では中華系フィリピン人を対象とした誘拐事件が多発しており、一部の市民や団体から犯罪抑制のための死刑制度復活を求める声が上がっていた。
大統領はこれまでキリスト教会やフィリピン・カトリック教会らとも協議し、「極刑が犯罪抑制の最善策ではない」として死刑再開を否定してきた。